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初期研修医が臨床研究に挑戦する意義はこれだけある

2014/01/22

 前回「インフルエンザとローカルファクター」では、インフルエンザのメタ解析を紹介しつつ、エビデンスに基づいた日常診療について考えてみました。

 当院では、1年に1度、初期研修医が臨床研究または症例報告をまとめて発表する義務があります。確かに、Vol.34「研修医は二兎を追うべきか?」で書いたとおり、英文発表ができるに越したことはないのですが、院内発表をするだけでも十分に価値があると思います。

 感染症に限らず、ローカルファクターは臨床上非常に重要ですし、文献を読みあさって自分たちの診療をまとめる機会は普段あまりないので、よい振り返りができると思うからです。

 せのびぃも1年目に後ろ向き臨床研究をやってみたことから、初期研修医が臨床研究に挑戦する意義を感じることができたのでご紹介します。

(1)ガイドラインを読み込む機会になる
 まず、ガイドラインを読み込む機会になる、という点が有意義でした。

 日常臨床では、なるべくガイドラインに沿った診療ができるように心がけていますが、そもそもガイドラインで疾患の診断基準が意外とあいまいだったり、合併しやすい2つの疾患(例えば、胆嚢炎+胆管炎や、総胆管結石症性膵炎+総胆管結石胆管炎など)がガイドラインの参考文献で除外基準に入っていたりすることもあると気づいたのです。

 また、ガイドラインの変遷を追ったり、日本と海外のガイドラインの差を検討したりすることで、最近出たエビデンスや日本で重視されているエビデンスに敏感になれました。

 普段「当たり前」にやっていることであっても、ランダム化比較試験(RCT)では検討されていないこともあります(極端な例で言うと、心停止へのアドレナリン静注などでしょうか。もはやプラセボとの比較などのRCTは人道的に不可能なのだと思います)。RCT全盛の時代ですが、普段の診療のうち、どこが「臨床医の経験に裏打ちされている部分」で、どこが「エビデンスではっきり示されている部分」なのかを感じることができたと思います。

 また、後ろ向き研究で過去のカルテを読みあさることで、当院での臨床の限界(すぐにエコーが使えるか、や、CT検査ができるのか、など)と、その限界の中で最善を尽くそうとしている先輩医師の奮闘を垣間見ることができ、自分ならどうやって診療をしていくか、疑似体験できました。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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