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インフルエンザとローカルファクター

2014/01/15

 先週は、年始めの決意表明で終わってしまったので、「魔の9連休」( vol.56「年末年始、目前に迫る魔の9連休!?」)についての振り返りが書けずに終わってしまいました。今回はその振り返りとともに、ローカルファクターの重要性について書いてみたいと思います。

 昨年 Vol.10「年末年始の流行り病」で取り上げたとおり、当院には救急外来の受診者の診断リストを電子カルテで閲覧できるシステムがあります。「魔の9連休」の間には多くのストーリーがあったわけですが、自分がつい気になったのはインフルエンザです。

 当院では、年末年始頃からインフルエンザが流行り始めました。予想では1月末にかけて増えていくと思っています。

 これは、2012~13年シーズンに比べるとやや遅い立ち上がりです。当院では感染対策チーム(ICT)がインフルエンザ迅速検査の施行数と陽性数をグラフ化して救急外来のスタッフステーションに置いてくれているので、重要なツールとなっています。当院を受診した「インフルエンザっぽい」患者の事前確率を週ごとに更新しているので、いわばこれが当院のローカルファクターになります。

 昨年大流行した風疹の時もそうでしたが、どこでどのくらい流行しているかによって、特に感染症は判断が変わってきます。同居の家族にインフルエンザがいたら、もちろんインフルエンザの可能性が上がります。これもある意味でローカルファクターの一つといえるかもしれません。

 全国的な統計として発表されるまでにはどうしても1~2週間のタイムラグがありますし、自分の病院で結果をまとめて臨床にフィードバックしていることは非常に意義深いことだと思います。

インフルエンザを強く疑ったら、「すぐに検査」すべき?
 2012年の論文で、迅速検査は特異度が98%もあるが、感度は60%程度だ、というメタ解析があります(参考文献)。内容は日経メディカルでも取り上げられているので、適宜ご覧ください( 「インフルエンザ迅速検査、全体の感度は62% 偽陰性に注意が必要、メタ分析の結果」)。

 尤度比に直すと陽性尤度比34.5、陰性尤度比 0.38だそうです。

 ベイズの定理を適用すれば、10%くらいの事前確率だと考えた時、事前のオッズは1/9ですから、陽性であればオッズはおよそ4。つまり80%くらいの確率で、診断はインフルエンザで正しそうだ、ということになります(実は、そもそもの事前確率がせいぜい1%だと思っていたら、もし陽性でも事後確率は25%程度にしかならないのですが)。

 一方、十中八九(80%)インフルエンザだと思っている人の迅速検査が陰性であったとしても、オッズが4から1.5に下がるだけなので、やっぱり60%の確率でその人はインフルエンザだということになります。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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