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麻酔科医はパイロット?!

2013/11/27

 さて、先日の予告通り、しばらくは集中治療・麻酔についてシリーズでお送りします。

 集中治療分野って、原因究明→原疾患の治療と、バイタル・全身状態の安定化を同時並行で進めなきゃいけないのが難しくもあり、楽しくもある部分ですよね。

麻酔科医とパイロットの共通点
 麻酔は、緊急オペが、それこそ原因究明のためのオペであることもあるので、まさに集中治療と同じことが進むわけです。例えば、原因不明の汎腹膜炎(パンペリ:pan-peritonitis)の場合、大体胃内容物があるような状態(フルストマック)で挿管も難しいし、ショック合併の時はすぐにオペを開始し、頭側ではCV、手ではAラインを同時並行で確保するなど、外科医も麻酔科医もテンションがあがっていますよね。

 一方、定時オペの場合、安定している患者をいかに安定したまま周術期を乗り切ってもとの状態に戻すかが問われます。つまり、「何も起きないのが当たり前」の安全飛行を粛々と進めることが任務なわけです。

 よく、麻酔科医はパイロットに例えられます。導入・挿管が離陸、維持は飛行中、抜管から覚醒が着陸なわけで、事故も当然、離着陸時に起こる可能性が高くなります。

 ここで思うのは、麻酔科医(パイロット)が動かす機械は多かれ少なかれ、コメディカルやナース(整備士や客室乗務員)への信頼に基いて使われているという点も似ているなぁ、という点です。

 患者(乗客)の安全の最終的な責任は麻酔科医(パイロット)が担うとしても、満足度を上げるためにはチームとしての取り組みが重要ですよね。また、トラブルがなければただ座っているだけ、というのも似ています。言い換えると、座っているだけでよいということが最も良い管理なのではないかとも思います。

 その意味で、麻酔科は究極の危機管理科と言えるのかもしれません。

意思決定権の所在と責任を取る覚悟
 院内の危機管理も、麻酔科が担っていることが多いです。Rapid Response Team (System) が整備されている病院も増えてきていると聞いています。麻酔科や集中治療科、救急科などが担当していることが多いと思うのですが、当院ではICUなどの「ユニット系」のベッドコントロールは麻酔科が担当しています。

 自分が麻酔科をローテートしている時に、指導医の先生が、ベッドコントロールにはある種の「パフォーマンス」も重要だと教えてくれました。つまり、誰が決定権を持っているのかをはっきりさせるための演技です。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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