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第12回
内科専門医試験対策は教材の三段跳びで

2020/04/30
田中 和豊

 前回はMSBIの新旧の内科レジデンシー・プログラムについて説明した。今回は、アメリカの内科レジデンシー3年間の後に受験することとなる専門医試験対策について紹介する。

 ここで確認するが、アメリカの内科レジデンシーの達成目標は、内科レジデンシー終了時にかかりつけの開業医、あるいは病院の病棟医を担当できるようになることだ。つまり、プライマリ・ケアを担当できる能力が目標となる。従って、内科専門医試験もプライマリ・ケア志向である。出題範囲は内科全般およびプライマリ・ケアに関連する診療科で、小児科、皮膚科、婦人科、老人科などを広く浅く学ぶ必要がある。内科専門医試験というと専門内科的知識を問われるイメージを持つ方がいるが、実はそうではない。内科はプライマリ・ケアレベルと、それ以後に臓器別の専門知識を深めるサブスペシャルティの専門医レベルに明確に分担されている。

 例えば呼吸器内科を例にとると、内科専門医レベルで問われるのは、喘息やCOPDの外来および入院治療である。間質性肺炎については内科専門医レベルでは診断くらいしか出題されない。それ以上の知識は呼吸器内科専門医試験で問われる内容なのである。実際に間質性肺炎疑いの患者は呼吸器内科に紹介している。プライマリ・ケア医は患者を診て、間質性肺炎疑いということが分かればよい。それ以後のことはすべて呼吸器内科が行ってくれるからである。

 このように広範な試験範囲の内科専門医試験対策だが、1年前からの準備では間に合わない。やはり、それ以前から周到な準備が必要であった。以前、内科レジデンシーの生活で話した通り、1年目は生きていくので精いっぱいであった。それでも1年目には内科だけではなく内科・外科・産婦人科・小児科・精神科とすべての臨床領域が試験範囲となる米国での3回目の医師国家試験であるUSMLE Step 3の勉強を始める必要があった。本格的に内科専門医試験勉強を意識し始めるのは、USMLE Step 3を受験終了してからである。

著者プロフィール

田中和豊(福岡県済生会福岡総合病院 総合診療部主任部長・臨床教育部部長)●たなか かずとよ氏。慶應大理工学部を卒業後、医師を目指す。94年筑波大医学専門学群卒業。横須賀米海軍病院、聖路加国際病院、アルバートアインシュタイン医科大、ベス・イスラエル病院などを経て、2012年より現職。

連載の紹介

アメリカ臨床留学 今昔物語
Cadetto.jpの好評連載「医学書ソムリエ」でおなじみの田中和豊氏が、若手医師の頃に留学していたニューヨークの病院を19年ぶりに再訪しました。これを機に当時の留学事情やレジデンシープログラムを振り返りながら、米国の最近の医療事情も紹介します。

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