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医系技官流お買い物術

2015/09/14
廣瀬佳恵(厚生労働省精神・障害保健課)

廣瀬佳恵●厚生労働省精神・障害保健課
 2006年産業医科大学卒業。横浜市立みなと赤十字病院での初期臨床研修後、08年厚生労働省に入省。介護報酬、労働衛生、移植医療、原発事故後の住民の健康管理などを担当。15年3月より介護保険制度等の調査研究のためドイツに滞在し、9月より現職。

 前回は、なぜ厚生労働省の医系技官である私がドイツに渡ったのか、ドイツで何をしているのかといったお話をしました。

 ドイツ滞在時の私の基本的なミッションは、行政官や疾病金庫の関係者からヒアリングや、講演、文献調査を通じて、ドイツの介護保険制度、特に介護サービスの質の評価・確保の実情について調査することでした。

 医系技官は、行政官の中でも、情報収集や調査の企画を担う機会が特に多くあります。私自身、外国に長期滞在しながら行政官としての調査を進めているというスタンスです。行政官としての調査アプローチは、研究者によるアプローチとは少し趣を異にしています。

 前回の記事でも、ネガティブな情報を得るには積極性が欠かせないとお伝えしましたが、今回は、医系技官による情報収集や調査が重要な理由について、さらに深掘りしたいと思います。

衝動買いは許されない、行政の「買い物」
 通勤時の荷物が増えたので、今持っているものより少し大きいバッグを購入するつもりで、デパートに行ったときのことです。あいにくイメージ通りのバッグは売っていなかったのですが、展示してあった赤いパーティバッグをぼんやり眺めていると、店員さんがデザインのポイントや定番商品との違いを熱心に説明してくれました。最終的に私は、通勤用のバッグではなく、このパーティバッグを買って帰りました。いわゆる衝動買いです。バッグを買うという楽しみ自体に目がくらんだように思います。

 さて、当然ながら、モノやサービスを売ったり買ったりの場面では、売り手は買い手に、「この商品やサービスを買うと、こんなに良いことがたくさん起こりますよ」と伝えるために、あらゆる手段を講じます。

 一方、行政官の日常業務では、広報業務を除いて、「この政策でこんなに良いことが起こりますよ」という説明に注力することはまれです。なぜなら行政は、基本的にモノを売る仕事ではないからです。

著者プロフィール

卒後ほぼ10年以内の医系技官がリレー形式で連載。所属部署は、医療政策、食品安全、放射線健康管理(環境省出向中)、健康教育(文部科学省出向中)、県の保健政策(自治体出向中)など。

連載の紹介

若手医師のお役所奮闘記
厚生労働省で行政官として働く医師「医系技官」の若手がリレーで連載。医療現場を働きやすくしたい、医療の政策などに関わることで自分を成長させたい、政策が作られる現場を見てみたい、国際社会に貢献したい——などなど、様々な思いを抱えながら霞ヶ関で働く医師の悲喜こもごもを、若手目線で緩く綴っていきます。

この連載のバックナンバー

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