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あなたの論文のアクセプト率を7倍にする方法

2019/06/11
藤川 達也(三豊総合病院)

 今回は、本コラムで最も強調したいこと、「イメージ論文は基本となるフォーマットを基に次々と投稿していこう」ということについてお話しします。どういう意味かといいますと、前回ご紹介したような、自分がイメージ論文を書くときのベースとなるひな型を作成しておき、応用するコツを身につけてイメージ論文をどんどん投稿しようということです。

 ほとんどの論文誌のイメージ論文コーナーは、症例部分と考察部分を併せて300単語(300文字ではありません)以内で執筆する必要があります。この300単語程度の原稿をベースとし、単語数が少ない論文誌に投稿するときは単語数を削減して仕上げます。

 ただし、単語数を削減するのには意外に神経を使います。例えば、「この論文誌は総合診療系論文誌なので理学所見の部分は残しておいた方がよいけれど、他の論文を見ると検査データはあまり記載していないので、ここは削減できるな」など、論文誌の傾向を見ながら単語を削っていきます。

 この「単語削減法」がベストの方法といえるかは分かりませんので、オリジナルの原稿を一から作っていくのもいいですが、英語にたけていないと時間がかかるのは確かです。私は効率の良さから「単語削減法」を用いて投稿を行い、論文誌Aがだめなら論文誌B、次はC、Dと次々と文字数を変えて投稿していくようにしています。今回のタイトルである「アクセプト率を7倍にする~」というのは、私が主に7誌にこの方法で投稿することが多いことからつけています。

 リジェクトされたら、ほぼ1~2日以内に次の論文誌に投稿しています。こうして各誌に順に投稿していき、アクセプトされるまで続けます。私はこれまで、ある程度の数の論文を投稿してきましたが、この方法で論文化されずにお蔵入りしたのは2例のみで、論文掲載率は約90%となります。せっかく書いた症例報告は、必ず掲載してもらうぞという意気込みを持って執筆したいものです。

多重投稿にはご注意を~せいては事を仕損じる~
 気を付けてほしいのは、ある論文誌に投稿してまだその審査が終わっていないのに、次の論文誌に投稿してしまうことです。これは多重投稿(multiple submissions)といい、他人の論文の表現を断りなしに使用する剽窃(ひょうせつ、plagiarism)とともに、固く禁止されていることです。多重投稿は著作権を持つ複数の雑誌が同じ論⽂を掲載してしまうことになるため問題なのはご理解いただけると思います。

 私は、自分がこんなことをするわけがないと思っていましたが、危なかったことが一度ありました。ある論文誌に投稿して、数日後に編集局からのメールが返ってきました。「unfortunately~」とありましたので、いつものように「残念ですがリジェクトです」という内容のメールだとばかり思っていました。その後、オフィスに戻ってすぐに原稿を微修正した上で他の論文誌に投稿しました。

 ところが翌日、リジェクトされたと思っていたメールを偶然読み直したところ、「unfortunately……but もし修正したらもう一度掲載を検討する」、とあるではないですか。これは論文がリバイスの対象になったという意味でありきちんと該当箇所を修正するとアクセプトの可能性はかなり高いという意味です(これまでにリバイス対象となった論文は、最終的に全てアクセプトされています)。先日は、外出先でちらっとメールを読んだだけだったために、リジェクトと早合点していたのです。うれしい気持ちの半面、さて既に投稿してしまった次の論文誌にどう連絡をするか。もし次の論文誌編集部が査読者に原稿を送ってしまっていたら、多方面に迷惑をかけてしまいます。急いで正直に、「こちらの手違いで他の論文誌からまだ正式にリジェクトとなっていなかったため、投稿を取り下げてください」と連絡をしました。幸い、お叱りを受けることなく、「我々の論文誌に投稿する準備ができればいつでもお待ちしております」と、何とも温かい言葉をいただき、解決しました。

あらぬ疑い~「犯人」も「被害者」も自分?~
 また剽窃についても一度疑い(?)を持たれたことがあります。

 とある論文誌は「○○チェッカー」といった剽窃チェックソフトを用いて、投稿された論文の文章や表現が既報の論文と似通っていないかを確認する方針を取っていたようです。引用元を明示した上で引用することは問題ありませんが、一字一句同じ文章というのは、やはり控えるべきです。引用の際には語順を変えたり、似たような別の表現になるよう、ライフサイエンス辞書の共起表現(https://lsd-project.jp/cgi-bin/lsdproj/ejlookup04.pl)などを参考に書き直すことも多いです。

 しかし、気を付けていたにもかかわらず、ある日「投稿論文の内容が、ある文書と似通いすぎているから再考してください」との連絡が届きました。その元の文章なるものは、何と私が数年前に国際学会に投稿した症例の抄録集だったのです。つまり、私自身が以前書いた文章です。もちろん投稿の際に文章の表現が同じにならないように気を付けていましたし、前回お示ししたようにカバーレターで「当症例は○○年の○○学会で発表したものです」と宣言はしていたのですが……。こちらは再度、文章の表現を大幅に変更したうえで最終的にアクセプトに至りました。

論文執筆の地道な作業
 イメージ論文も、論文誌によっては「参考文献を付けなさい」という指定があります。多くのイメージ論文は単語数制限があり、参考文献も3~5編まで、という制限があるものが多いです。そこで、汎用性を持たせるため参考文献は3本程度にとどめておくほうがよいでしょう。できるだけ新しい論文で、1つの論文に疫学、診断、治療まで詳しく記載されているものが使いやすく、時には総説を使うこともあります。英語論文の参考文献リスト作成にはフォーマット調整※注が欠かせませんが、参考文献は多くても5編程度なので私は全て手作業で入力しています(イメージ論文ではなく、長編の論文だと参考文献は数十編となるので、手作業は至難の業です。EndnoteやMendeleyなどの自動ソフトを使うことが一般的です)。

※注 参考文献を紹介する際は、筆者、論文タイトル、誌名、発刊日時、ページなどの情報を記すが、投稿誌ごとにその表記する順番などが微妙に異なる。また、文章の文献番号の記載位置やピリオドの使い方など論文誌ごとの指定が細かく異なる。これらを投稿規定に合わせて修正すること。

著者プロフィール

藤川達也(三豊総合病院[香川県観音寺市]総合診療内科部長)●ふじかわたつや氏。1998年岡山大卒。岡山大学大学院、米国ハーバード医科大附属ベスイスラエルデーコネス病院リサーチフェロー、市立備前病院、清恵会病院などを経て現職。研修医指導責任者。「アカデミック活動の充実した市中病院」を目標に、研修医と共に診療した症例をクリニカルイメージ論文として投稿している。

連載の紹介

市中病院からトップジャーナルを狙おう!
医学英語論文はサブスペシャリティーを極めた者、最先端の治療に携わる者だけに書く機会があるのではない! ごく一般的な市中病院に勤務しコモンな疾患を診療していても、クリニカルイメージなら必ず執筆の機会は訪れる、それも頻回に! 市中病院からトップジャーナルに効率よく論文投稿、掲載されるコツを実例を交えて伝授する。

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