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論文掲載を狙いたい「バリュー雑誌」

2019/03/08
藤川 達也(三豊総合病院)

 前回は、クリニカルイメージ(イメージ論文)は比較的短く、書くことが定型化しているため書きやすいとお伝えしました。今回は、イメージ論文を書くに当たっての「心構え」について述べてみたいと思います。といっても、綿密な計画が必要なわけではありませんし、臨床研究のように倫理委員会の承認を必要とすることも一般的には不要です。

 イメージ論文が市中病院の医師、特に若手医師でも取り組みやすい理由の1つに「コネクションが不要」という点が挙げられます。通常、原著論文(雑誌の核を成すような研究に関する論文)になるような大規模な臨床研究を、単一の病院で実施するのはなかなか難しいものがあります。多数の病院をまとめて研究を主導していくには経験も人脈も必要ですし、その分野における、ある種の「政治力」も必要でしょう。しかし、1例のみを扱うケースレポートやイメージ論文では、こうしたコネクションを持つ必要はほとんどありません。ただし、診断の根拠や一枚の画像に込められた教育的意義を、指導医や他科の医師としっかり協議することは欠かせません。その意味では、執筆者の熱意、他科の「垣根の低さ」はある程度必要といえます。

 これもコネクションとかかわるのですが、原著論文(特に基礎研究分野)では、筆者とその所属する研究室の信頼度が論文アクセプトに影響することがあります。論文捏造のニュースが世間をにぎわせている昨今は、いくら真面目に研究を進めていても、所属施設の知名度が低いと特に、筆者や責任著者の信用が問われるのです。その半面、ケースレポートやイメージ論文はそうした知名度の問題や信頼度の影響が少なく、世界各国から広く論文が採択されています(前回の国別一覧表参照)。

英語が得意じゃなくても大丈夫!
 こうした理由で、イメージ論文は市中病院勤務医の先生にも執筆のハードルが低いことはご理解いただけたかと思います。ただ、「そうはいっても日本語論文の執筆もしたことがないのに英語の執筆なんて」と考える方も大勢いるのではないでしょうか。英語論文といっても、イメージ論文ならそれほど英語のライティングが得意でなくても執筆できます(英語が大嫌いならちょっと苦痛でしょうけれど)。

 総説などの長編論文であれば段落構成、前後の脈絡との整合性などが問われるところですが、イメージ論文は短く決まった構成のため、似たようなイメージ論文のひな形を基に書くだけで完成してしまうのです。

 当院の研修医が執筆したイメージ論文は次々と英文誌にアクセプトされていますが、皆が英語を得意としていたわけではありません。ある初期研修医は積極的に症例集めと論文化を進め、後期研修医となったある年、1年でpubmed収載雑誌にイメージ論文が30本以上アクセプトされるという快挙を成し遂げました。日本でもトップクラスのイメージ論文執筆数だと思います。

付録 クリニカルイメージ投稿を受け入れている論文誌(2)
※備考ページへのリンクはこちらから

著者プロフィール

藤川達也(三豊総合病院[香川県観音寺市]総合診療内科部長)●ふじかわたつや氏。1998年岡山大卒。岡山大学大学院、米国ハーバード医科大附属ベスイスラエルデーコネス病院リサーチフェロー、市立備前病院、清恵会病院などを経て現職。研修医指導責任者。「アカデミック活動の充実した市中病院」を目標に、研修医と共に診療した症例をクリニカルイメージ論文として投稿している。

連載の紹介

市中病院からトップジャーナルを狙おう!
医学英語論文はサブスペシャリティーを極めた者、最先端の治療に携わる者だけに書く機会があるのではない! ごく一般的な市中病院に勤務しコモンな疾患を診療していても、クリニカルイメージなら必ず執筆の機会は訪れる、それも頻回に! 市中病院からトップジャーナルに効率よく論文投稿、掲載されるコツを実例を交えて伝授する。

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