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好きなことを見つける努力を惜しまないで
東京女子医科大学助教 津久井宏行

津久井宏行
Hiroyuki Tsukui
東京女子医科大学 心臓血管外科助教●1995年新潟大卒。2003年渡米。06年ピッツバーグ大学メディカルセンターAdvanced Adult Cardiac Surgery Fellow。2009年より現職。

 3人兄弟の長男である私は、一番下の弟が小児糖尿病で苦しんでいるのを目の当たりにして、そういう病気の治療法を研究したいと思い、医学部を目指しました。

 高校2年生のときに父が亡くなったことも進路選択に少なからず影響したと思います。亡くなったときは診断が付かなかったのですが、医師になった今、振り返ると、急性心筋梗塞だったのかなと思います。

 医学生時代はスキーと陸上に明け暮れました。映画『私をスキーに連れてって』が流行り、苗場プリンスのタワーが建設されて、まさにスキー全盛期。もっとも私は体育会に所属してノルディックスキーをやっていたので、冬はずっと合宿で、1月の試験期間だけ大学に戻り、試験が終わったらすぐ山にこもる生活でした。夏は陸上部で中長距離をやっていましたから、本当に頭を使わず、筋肉ばかり鍛えていました(笑)。

「世の中は結果がすべて」
 そんな生活だったので、徹夜で受けなかった試験はありません。試験前日の部活動中に、1つ上の先輩に「明日こういうテストがあるんですけど、どこを勉強したらいいですか」と聞くのが常套手段。先輩にポイントを教わり、家に帰って教科書を開くと「このことを言っていたんだ」「ここを覚えていけばいいんだ」と初めて分かる。

 夜中の3時「ああ、ちょっとは分かってきたな」、5時「ああ、何とか合格できるかな」、8時「これなら合格できる」という具合に頭に叩き込みました。9時に試験が始まると、解答用紙に一気に吐き出しました。もう1回やれと言われても答えられなかったと思います。

 褒められる勉強スタイルだとは思いませんが、私はずっと「世の中は結果がすべてだ」と思っていました。陸上やスキーは、着順やタイムが重要であり、どのように練習してきたかは関係ない。もちろん一生懸命やることは大事ですが、結果が出なかったら、どんなに一生懸命やっても意味がない。勉強も同じで、結果を出す、つまり与えられた課題をクリアするかどうかが重要だと考えていたのです。

 そうやって課題をクリアしていると、最短距離&最小労力で目標に到達することに関して、自分がかなり長けていることに気付き、「これは一種の才能だ」と思うようになりました。こつこつと穴を一個一個つぶしていく能力はないけれど、当たりを付けて効率よく目標に達する能力はある、と思ったのです。

 私の勝手なイメージですが、内科はこつこつと穴をつぶしていくタイプに、外科は直感で狙いを付けて最短距離でいくタイプに向いていると考え、外科を選ぶことにしました。

 試験といえば、アメリカに留学するときに受けた米国医師国家試験(USMLE)には本当に苦労しました。記憶が中心の、まさしく私が苦手とするタイプの試験。留学前に日本でステップ1、2を受験しましたが、いずれも1回では受かりませんでした。合格点数ぴったりかプラス1点ぐらいでなんとかクリアできました。

 留学後にアメリカでステップ3を受けたのですが、これも2回も落ちて…。2回目は必死に勉強したのに合格点数に1点足りなくて、あきらめかけました。しばらく勉強をやめてしまったほどです。でも、のどに魚の骨がひっかかったような感じで、やっぱり合格しなくてはと発起して、やっとのことで合格したのです。

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