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米国で看護師として働いてみて
患者・家族との関わり方を日米で比べてみた

2016/05/02
熊倉純子(ペンシルバニア大学病院NICU Intensive Care Nursery)

熊倉純子●東京都出身。日本赤十字看護大学卒業後、慶應大学病院で6年半ほど小児科新生児領域で看護師として勤務。RN (Registered Nurse) ライセンス取得後、アメリカへ看護留学し、 フロリダの総合病院小児科にて1年勤務。一旦日本に帰国して日本看護協会に1年勤務するも、再び渡米。アインスタインメディカルセンターNICUで2年半勤務後、現職。

 私が働いているフィラデルフィアはアメリカの中で大きな都市の上位にランクされます。患者とその家族(私が勤務するNICUの患者は新生児であるため、以降は「患者・家族」として表現します)をとりまくバックグラウンドは、人種、文化、貧富(先進国の都市部でありながら多くの貧困層)、教育、宗教、同性カップル、麻薬依存など、あらゆる面において大きく幅があります。

 病院で働きながら、アメリカの社会や国民の縮図を日々見ているようであり、患者と家族をとりまく問題の多様さ/複雑さに驚かされます。さらに、妊婦検診未受診、親の薬物乱用、貧困(育児に必要最低限なものが購入できなかったり、通院のための交通手段がなかったり、交通費が支払えません)、若年妊娠(親として育てられない社会経済的状況)。そのために里親探しや養子縁組などは日常の出来事で、NICU特有の事柄です。公衆衛生領域における根深い課題を感じます。

「質問ありますか?」はNG
 今回は医療チームと、患者・家族とのコミュニケーション、面会のあり方について少し書いてみたいと思います。アメリカでは治療に対して受け身の患者は少なく、治療方針やケアに対する患者・家族からの質問やクレーム(主張)は医療知識の有無にかかわらず頻繁にあります。医療チームはそういった質問やクレームにはとても慣れており、時間をかけて対応します。

 医療チームから患者へのアップデートや情報提供はとても単刀直入であり、ネガティブ/深刻な内容や、リスクについてでもオブラートに包まずストレートに説明します。患者に何か説明や話をした後のフレーズは、“Do you have any questions?”ではありません。
“What kind of questions do you have?” という問いかけをするよう院内で教育をしています。前者の質問方法だと患者が質問しづらい雰囲気を作り、“ありません”で終わってしまう可能性があるからです。

 言葉だけでなく態度についても、聴く気があるという姿勢として、患者の隣に座って同じ目線で話すというのもベッドサイドマナーの一つとして教育されています。実際、椅子に座って話すと立って話すより時間をかけるという研究結果があるそうです。

連載の紹介

あめいろぐ便り
米国で学び、働く日本人医療従事者が広く情報発信するブログサイト「あめいろぐ」。その執筆メンバーがCadetto.jp読者向けにオリジナル記事を書き下ろします。日本からは見えにくい米国医療の姿を内側から伝えます。

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