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彼女のワークライフバランス、私のワークライフバランス

2010/12/16

ボストンの保育園での一コマです。

 ボストンの小児科の待合室で、1枚のポスターが私の目を引きました。スーパーでメモを片手に買い物をしながら時計を見ている背広姿の男性(!)の写真に、こんな言葉が添えてあります。

―Multi-task is a middle name of the working parents.
マルチタスク(たくさんの役割及び仕事)は働く親のミドルネーム

 もう一つ、心に残っているのがHSPH(ハーバード公衆衛生大学院)の入学オリエンテーションで言われたこのフレーズです。

―Let go of perfectionism when not important
重要でないなら、完璧主義はやめようじゃないか

 各地から優秀な学生が集まってくるハーバードで、学生たちに重圧がかかり過ぎないように、との配慮なのでしょう。学生に限らず、あれもこれも全部頑張りたい親としても、考えさせられる言葉でした。

 いま私の一番の関心事は、「どうしたら自分の人生も、子供の人生もハッピーにできるのか」です。「これをやれば良い」というような秘訣があるわけもなく、簡単に実現できることではないのですが、常にこのことは頭を離れません。

子供たちのミッションとは
 さて、HSPHでは定期的に、親と職業人との両立支援を目的としたWork/Family Seminarが開かれるのですが、9月のテーマは「しつけ」でした。配布資料にこんな文章がありました。

―Positive Discipline at its Finest
最高にポジティブなしつけを
Does your child look you in the eye and do something they shouldn’t be doing with a huge smile? A child’s mission is to test the rules and catch our attention. Discuss how to set age appropriate limits with positive communication techniques. It is never too early to start teaching how to take turns, share, learn safety rules, and kindness!.

 子供があなたの方を見て、にっこり笑いながらしてはいけないことをするということはありませんか?子供たちのミッションは、ルールを試すことと、親の気を引くことです。子供たちと、年齢に応じ、してはならないことをポジティブなコミュニケーションテクニックで話し合いましょう。順番を守ること、分け合うこと、安全のためのルールと優しさを教えることはいつ始めても早すぎるということはありません!

 これを読んで「なるほど」とうなずきながらも「それが難しいのよ!」と苦笑した私です。

 子供に試されていると感じる場面は本当によくあります。親に自信のない時や余裕のないときほど、子供は揺さぶりをかけてきます。着替えを嫌がったり、床に寝っ転がって暴れたり。そんなときこそ子供の気持ちを受け入れ、その背景にどんな思いがあるのか考えなくてはいけない、と分かっていても、忙しいとイライラしてしまい、なかなか難しいものです。

著者プロフィール

吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。

連載の紹介

吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」
米国ハーバード公衆衛生大学院で疫学の研究に従事する吉田穂波氏が、日米を往き来しながらの研究生活、子育て、臨床現場への思いなどを、女性医師として、産婦人科医として、4人の子の母親として、肌で感じたままにつづります。

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