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米国大学院MPHコースへの留学の仕方教えます
(2010.5.27訂正)

2010/05/27
吉田穂波

学長のJulio Frenk先生や同級生たちとのランチです

 「どうしたら先生のように米国大学院に留学できるのですか?」。最近、こんなお問い合わせをしょっちゅういただくようになりました。今日は私個人の体験に基づいて、米国大学院留学への道筋やポイントをご説明します。少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

 日本では、PhDを取得した後は勤務医として働くか、基礎研究に従事するというキャリアパスが一般的です。そんな中、米国大学院MPH(Master of Public Health、公衆衛生学修士)コースへの留学という道もあると知って、行動を起こそうとする方が大勢いらっしゃることをうれしく思います。

 もちろん、PhD取得後にポスドクやフェローとして研究に従事し、論文を書くという、もっともメジャーな米国留学スタイルも良いと思います。私にもし疫学の知識やキャリアがあれば、MPHをとる必要はなかったかも知れません。しかし私は卒後10年間ずっと産婦人科医として臨床や研究に携わってきて、疫学に関しては全くの素人だったため、HSPH(Harvard School of Public Health)のMPHコースで疫学を最初から学ぶことにしました。

 HSPHではよく「PhDを持っているのになぜ今さらMaster course(修士課程)に?」と驚かれました。アメリカではPhDの取得が非常に難しく、学歴の最高峰とみなされています。そのためか、「私がPhDを取得したのは分子生物学および産婦人科領域であって、疫学研究とは全く違う」といくら説明しても、驚きは消えないようです。

 ともあれ、学位が欲しいのか、学位にはこだわらず新しいことを学びたいのか、といった目的によって、留学のスタイルは大きく変わってくると思います。

子供をおぶい、図書館で三角関数の勉強

 HSPHを含め、米国大学院のMPHコースの受験申請はオンラインで行います。SOPHASという共通出願センターのような組織があり、ここを通じて複数の大学院に一括申請ができます。履歴書などの書類はどの大学院に出願する場合でも同じものを1回作成すればよく、手続きのチェック・リストなども用意されており、便利でした。

 米国大学院MPHコースを受験するには、TOEFLのほかにGRE(Graduate Record Examination)という共通試験を受ける必要があります。GREは大学卒業程度の内容なのですが、忘れていた数学や英単語の知識を思い出すのに少し時間が要るかも知れません。私も、子供をおんぶして図書館で必死になって三角関数を勉強しました。

 このほか、抱負を書いたESSEYと、3人の方からの推薦状、英文の大学卒業証明書、英文の大学成績証明書、大学院における経済的バックアップを証明するために英文の銀行残高証明書などが必要です。さらに、アメリカ大使館でF-1 Visa(通称学生ビザ)を出してもらう必要がありますので、合格通知を受け取った後もやや面倒な手続きが待っています。母校で英文の成績証明書を作成してもらったら2~3週間かかった、ということもありますので、手続きは早め早めに進めてください。私はいつも締め切り間際になり、とてもあせりました。

著者プロフィール

吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。

連載の紹介

吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」
米国ハーバード公衆衛生大学院で疫学の研究に従事する吉田穂波氏が、日米を往き来しながらの研究生活、子育て、臨床現場への思いなどを、女性医師として、産婦人科医として、4人の子の母親として、肌で感じたままにつづります。

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