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ドイツでも米国でも、妊婦さんのお役に立ちたい!

2010/02/25

ドイツ留学中も産婦人科医として臨床現場で妊婦の方々のサポートをしていました。

 私がボストンで一番幸せを感じる時間。それは、周りの日本人の方から、産婦人科のことでご相談を受ける時です。

 ハーバードに留学して、英語で多くのハイレベルな授業を受け、宿題をこなし、試験を受けていると、学生としてのインプットばかりでアウトプットがないように感じる日々。臨床が大好きで、人のために何かできる医師としての職業に誇りとアイデンティティを持っていた私が、英語でのディスカッションやテスト勉強に苦労して引け目を感じる時もたびたびあります。

 そんなとき、どなたかの相談に乗って自分の産婦人科医としての臨床経験を生かせると、とてもうれしく、感謝をされるこちらの方が、悩みを打ち明けてくださった方に感謝したくなるほどです。

 ドイツのフランクフルトで臨床に携わっていたときも、同じような経験をしました。

 フランクフルト市があるヘッセン州は海外からのMDに対し、ドイツ語訳の医師免許証、卒業証明書など電話帳ほどの厚さがある提出書類を出し、ドイツ語の語学試験にパスすれば、ドイツの医師国家試験を受けなくても医師として働くことができるという制度を取っていました。

 書類作成は非常に手間がかかりましたが、夫も私も必要書類をそろえ、臨床留学に臨みました。働かせてもらっていた産婦人科病院では私の臨床経験や学位を尊重してくださり、私がドイツの医師免許申請手続きを完了する前から外来、手術、入院、すべての場にいさせてもらえたのです。

 まるでポリクリの学生のようにドイツ人医師たちの外来や手術に参加でき、とても寛大な配慮に感謝しながらの毎日でした。自分に少しでも恩返しできることはないかと、採血業務を担当したり(ラインを取ったり採血をしたりするのが得意でした)、日本人患者さまの通訳を買って出たりしていた日々の中で、多くのフランクフルト在住の日本人の方から産婦人科を含めた医学的治療についてのご相談を受けました。

 海外で病気になる時のつらさ、不安、苦痛は想像を絶するものです。私は、勤務先の日本人通訳さんや手伝ってくださる方と一緒に、病院のカフェテリアで開く「妊婦さん会」で妊婦さんのご相談に乗ったり、日本の病院で使っていた両親学級のパンフレットをフランクフルト用に作り変えて「安産のしおり」を作ったり、自分が日本で患者さまの説明に使っていた子宮筋腫や腹腔鏡についての説明書を改編してお渡ししたりしていました。

著者プロフィール

吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。

連載の紹介

吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」
米国ハーバード公衆衛生大学院で疫学の研究に従事する吉田穂波氏が、日米を往き来しながらの研究生活、子育て、臨床現場への思いなどを、女性医師として、産婦人科医として、4人の子の母親として、肌で感じたままにつづります。

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