日経メディカルのロゴ画像

世界に向けて日本を発信する草の根交流「ジャパン・トリップ」

2010/01/28

2010年ジャパン・ツアーの企画を進めています。3月にHSPHの学生たちと日本各地を回る予定です。

 Make a difference.(行動を起こそう、世界を変えよう)
とは、リーダーシップ教育を旨とするハーバードのあらゆる場でよく耳にする言葉です。

 ハーバードに来て、英語でたくさん発信したいことがある!と、前回のブログで書きましたが、同じことを考え、実際に行動する日本人学生がやはりいました。2006年から、その名も「ジャパン・トリップ(JT)」という企画がハーバード公衆衛生大学院日本人会によって、非営利で運営されています。

 JTは学生団体主催のフィールドトリップとしてはHSPH(ハーバード公衆衛生大学院)の学内でも最も規模の大きなものとなっています。このプログラムでは、ハーバードの学生たち約30人が日本に約1週間滞在し、日本各地の保健・医療・福祉施設の訪問や関係者との意見交換などを通じて、様々な角度から日本人の健康を支えるシステムについて学ぶ機会を提供しています。

 ほかの実行委員同様、学業を優先せざるを得ない時期とも重なりますし、一時帰国のための資金、3人の子供の日本での預け先、など、課題はいくつもありますが、何とか日本での一時預かりの保育園を確保でき、今年は私も参加できる見込みです。昨年は余裕がなく参加を見送ったこともあり、大変楽しみにしています。

 JTの目的は、(1)ハーバードの学生たちが日本で学んだことを各自が消化し活かしていくことで、「世界の」公衆衛生及び健康の発展、向上に寄与することです。同時に、(2)日本を応援してくれる人々を増やす(3)「公衆衛生」ではなく「Public Health」について、日本人医療関係者に興味を持ってもらい、学ぶ場の選択肢として米国Public Health Schoolがあることを知ってもらうこと―も目的です(「公衆衛生」と「Public Health」の違いについては別の機会に触れます)。実際、これまでJTでHSPHの学生と交流した日本の医学生がそこでグローバルな視野に触れ、刺激を受けてHSPHに入学することもありました。

 また、この旅行は医療だけではなく、より広く日本の「Public Health」を学ぶことが目的なので、食(料理体験、保育園の給食体験など)やSocial Capital(地域のネットワークに個人の健康が支えられていること)の体験も多くをプログラムに組み込まれています。「社会的サポートと団結力、そして日本の文化が長寿の要因である」なんて、私は日本にいて考えたこともありませんでした。日本では気づかなかった公衆衛生が扱う幅の広さに、日本人実行委員として学ぶところが大きく、やりがいのある企画になっています。参加者の知的好奇心や積極的態度に突き動かされ、これまで知らなかった「日本」を学ぶいい機会となりました。

著者プロフィール

吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。

連載の紹介

吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」
米国ハーバード公衆衛生大学院で疫学の研究に従事する吉田穂波氏が、日米を往き来しながらの研究生活、子育て、臨床現場への思いなどを、女性医師として、産婦人科医として、4人の子の母親として、肌で感じたままにつづります。

この記事を読んでいる人におすすめ