
保育園に3人の子供を送る途中に
子育てしながら留学するには、保育園のことも考えなくていけません。HSPH(ハーバード公衆衛生大学院)への入学は大変な難関ですが、保育園はある意味それ以上に“狭き門”です。ハーバードの周辺は保育施設が少なく、Waiting Listに載せてから1年間待つのは当たり前という話もあるほど。これはアメリカ全体の傾向のようで、こちらでは自分の親に子供たちの面倒を見てもらう夫婦が全体の4割を占めるそうです。保育園に預ける親は2、3割で、残りは家でシッターさんに面倒を見てもらいます。
前回書いたように、私には4歳、2歳、1歳と3人の子供がいます(3人目は合格時、まだお腹の中で、今月1歳になったばかりでした)。合格が決まってすぐに日本からハーバード関連の保育施設に問い合わせをしてWaiting listに載せ始めましたが、その後全く進展なし。大学から遠くて費用も高い私立の保育園にやっと上の2人の枠を押さえることができたのは3人目の出産直前、渡米1ヵ月前のことでした。
どの保育園でも三女を入れる乳児の枠が少ないため、9月の新学期スタートから2ヵ月は三女の面倒を見ながらの学生生活でした。それを見かねて、上の2人を預けている保育園のDirectorが三女の入園を許可してくれた時は本当にホッとしました。
とはいえ、保育料の負担はハンパじゃありません。毎月の保育料は0歳が2000ドル、2歳4歳もおのおの1500ドル以上、3人合わせて5000ドル以上かかります。月50万円の保育料!これは日本で子供を預けていたときの5~6倍です。それも、日本の保育園とは違い、ランチやミルクは毎朝自分たちで用意して持参しなければいけません。保育料の支払いだけで貯金が見る見る減っていきます。
独身で留学すればこんなに出費を気にせずに済んだのに、とよく言われますが、子供を保育するだけでこんなに生活費が違うとは想像もできませんでした。周りのキャリアウーマンを見ても育児の経済的負担が重くのしかかっています。アメリカではヒスパニックやアフリカンアメリカンの間で出生数が多いので全体の統計的出生数には表れませんが、白人社会には確実に少子化の波が押し寄せています。
ちなみに、食費、ガソリン代などの生活費は想定範囲内でしたが、学生用の医療保険は非常に高額で家族一緒に加入すると日本の5倍ほどになってしまいます。このため、Mass HealthというMedicareの一種に加入し、公的医療サービスを受けることにしました。日本でいえば生活保護(?)を受ける身となってしまったのはアメリカの納税者に申し訳なく、複雑な気持ちでしたが、背に腹は換えられません。
また、米国にはWIC(Women, Infant & Children)という妊産婦および子供用の食糧配給制度があり、わが家は無収入のためWICの受給資格があるということをボストン在住の友人から教えてもらいました。粉ミルクや牛乳、卵が手に入るので非常に助かっていますが、栄養学的にはいろいろな問題点があります。受給者側の立場から見た米国の社会福祉制度については話が長くなりそうなので、また改めて報告しますね。
私は日本で2人の子供を保育園に預け、食事・おやつを出してもらい、離乳食からトイレのしつけまで教わってきました。プロの保育士に育児相談でき、たくさんの人に子供たちを育ててもらえる保育園の存在はとてもありがたく、おかげでキャリアを続けられたようなものでした。