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なぜ「子育てしながらハーバード留学」なのか?

2009/07/02

ハーバード公衆衛生大学院があるロングウッド・メディカルエリアの駅で

 今回は、そもそも私がなぜHSPH(ハーバード公衆衛生大学院)に留学することになったのか、私のこれまでの歩みを含めて、書いてみたいと思います。

 私の両親は北大の研究者で、私は札幌で生まれました。10歳の時に両親の名大への転籍に伴い名古屋へ。地元の小中学校から愛知県立千種高校を経て、1998年に三重大医学部を卒業。当時研修病院として大変人気があった聖路加国際病院に合格、産婦人科医として研修を始めました。

 3年後には名大大学院へ進学。通常4年かかる博士号を3年で取得し、その後すぐに結婚。夫は感染症内科医で、SARS、エイズ、鳥インフルエンザなどが専門です。2004年に夫の臨床留学に随行しドイツのフランクフルトで臨床研修をしました。フランクフルトで第一子を出産した直後の05年には英国ロンドンに渡りました。

 この2都市で子供を育てながら働くことを学びましたが、一番の収穫は産婦人科の枠を超えた総合内科診療の中で全身をトータルに治す医療の重要性に気がついたことです。国際社会で通用する医師となるべく、海外で、しかも子供を育てながら臨床で働いた経験は、私の大きな財産となりました。

 帰国後05年には日本初の女性総合外来の立ち上げにかかわり、第二子を出産。そして08年7月には3人目の女の子が生まれました。産婦人科医として数多くの赤ちゃんを取り上げたばかりでなく、自分も現在4歳、2歳、1歳、3人の子供の母親です。

 周囲からは働きながら立て続けに3人の子供を産んだことに驚かれることがありますが、これは、私が一生第一線の臨床医として働きたいという明確なライフプランを持っていたからこそです。仕事と出産とのタイミングに悩む先輩医師を見ながら、外科系の医師の場合、ブランクが長すぎるのは良くないと思っていました。手術や帝王切開など、危険を伴う仕事に復帰するのが怖くなってしまうからです。

 また、実際にまとめて産んでみると、子供たち自身がお互いに遊びながら育ってくれるので、子育てがどんどん楽になっていきました。子供は1人でもう手一杯という人には、「1人目が一番大変、2人目、3人目がいた方が長い目で見れば精神的にも体力的にも楽ですよ」とアドバイスしています。もちろん、個人の考えや事情もあるのでなかなか思い通りにいかないこともあると思いますが…。

 さて、普通は3人の小さな子供がいれば産休中はゆっくり家庭で育児に専念するでしょう。私は、この出産後の休暇を利用してハーバードへ留学しようと準備をしました。私には、自分なりのタイミングの測り方があり、今こそその時だ!と思ったのです。

著者プロフィール

吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。

連載の紹介

吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」
米国ハーバード公衆衛生大学院で疫学の研究に従事する吉田穂波氏が、日米を往き来しながらの研究生活、子育て、臨床現場への思いなどを、女性医師として、産婦人科医として、4人の子の母親として、肌で感じたままにつづります。

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