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ハーバード医学部エリアで感染者!―でも、町は意外なほど平静です

2009/05/04

 4月30日木曜日にハーバード大歯学部でSwine Flu感染者が出たことを受け、5月1日からハーバード大医学部があるLongwood Medical Areaにおけるすべての講義とイベントがキャンセルとなりました。歯学部のSwine Flu症例は5月1日現在学生と職員を含め9人(疑い症例を含めると22人)で、6日水曜日まで医学部の講義および臨床実習は休講となる見通しです。

 しかし、日本での過熱報道に比べ、Longwood Medical Areaを歩く人でマスクをしている人は見かけません。大学関係者への警告メールを読んでも、手洗い、うがいの励行、手で口や目に触れないこと、疑い症例への接触や体調不良時の出勤禁止など、Standard Precautionについて書いてありますが、アメリカ人はマスクをする習慣がないため、マスクによる予防については推奨されていません。

 今のところ重症例が出ていないためかアメリカのマスコミ報道は日本に比べると総じて非常に抑えた表現で、人々はみな平常通りの生活をしています。以前から恐れられていた鳥インフルエンザ(H5N1)と今回の豚インフルエンザH1N1)は、毒性、感染力が違うものという認識があるようです。

 5月1日、ハーバード大医学部の関連病院であるChildren’s HospitalでSwine Flu対策の講演とマスク装着訓練があったので参加してきました。ずいぶんと本格的なN95マスクとカバーの組み合わせで、やはり警戒レベル5に対応している内容です。

 今なら日本でも医学部の講義でこのような非常事態に備えたマスクの装着方法を学ぶのかもしれませんが、私はこのような厳密なマスク装着訓練は初めてでした。私の指導に当たってくださった感染制御担当者にお話を伺ったところ、政府および保健所は今回の豚インフルエンザの感染対策に自信を持っている、とおっしゃっていました。また、たださえ不況の経済にさらにダメージを与えないため、厳密なインフルエンザテストをする十分な費用がないため、パニックを防ぐため、たとえ同じエリアで感染者が出ても現場には冷静な対応を呼びかけているとのことでした。

著者プロフィール

吉田穂波(ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー)●よしだ ほなみ氏。1998年三重大卒後、聖路加国際病院産婦人科レジデント。01年名古屋大学大学院。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、08年ハーバード公衆衛生大学院。10年より現職。

連載の紹介

吉田穂波の「子育てしながらハーバード留学!」
米国ハーバード公衆衛生大学院で疫学の研究に従事する吉田穂波氏が、日米を往き来しながらの研究生活、子育て、臨床現場への思いなどを、女性医師として、産婦人科医として、4人の子の母親として、肌で感じたままにつづります。

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