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「混合診療解禁後」の未来予想図

2015/02/27
梅村さとし

 前回は、昨年12月に行われた第47回衆議院議員総選挙にまつわる話題について述べました。私が政治家や候補者としてではなく、一有権者として接する国政選挙は久しぶりだったので、選挙期間中、医師をはじめとするいろいろな医療関係者と話し合ってみました。

 そんな中で、よく出てきた言葉は、「○○党は混合診療全面解禁を提言しているから、僕は投票しない」「正々堂々、混合診療解禁を主張しているから、私は○○党を支持する」でした。どうも医療関係者の間では、「混合診療」という言葉が1つのキーワードのようでした。最初にお断りしておきますが、「混合診療」という言葉は「造語」であって正式な行政用語としては存在しません。だからこの言葉が何を指すのかははっきり定義されていないのが現状です。

 しかし一般的な解釈としては、「公的医療保険を使った医療を受けているときに、同時に自由診療も受けることができる制度」を指すのだと推測されます。現在でも保険外併用療養費制度において、例えば先進医療のような「将来、公的医療保険に組み入れることを目指して評価を行うもの(評価療養)」と差額ベッドのような「患者さんの選定に委ねられるサービス(選定療養)」の2つのカテゴリーについては、公的医療保険を使いながらも、医療機関は患者さんから自由診療料金を徴収することができます。つまり現在の日本は、ざっくり言えば「混合診療が一部解禁された状態」なのだと思います。「混合診療解禁」とは、この「一部解禁状態」を見直して「範囲をかなり広げる」ことを指すのだと思われます。

賛否ともに患者や国の立場からの主張がベースに
 まず混合診療解禁賛成派の代表的な意見です。

 「今の日本の財政赤字はすごいでしょ。これからどんどん高価な新しい医療技術も出てくるのに、何でもかんでも公的医療保険で診るというのはどう考えても無理ですよ」

 「保険未承認の薬や機器を使っただけで、同時に受けている公的医療保険の医療まで全額自己負担になるのは、患者さんがかわいそうですよね」

 一方、解禁反対派の代表的な意見です。

 「貧しい人は、保険で認められない新しい医療はどんどん受けられなくなりますよね。医療だけは皆が保険証1枚で平等に受けられるようにすべきです」

 「国が認めていないような怪しい医療行為が横行しますよ。そうなると、最終的に不利益を被るのは患者さんですよね」

 以上の意見で注目すべきは、主語がいずれも「国」「患者さん」であることです。もちろんそれは大事なことですが、「医療に携わる者」あるいは「医療機関」にとってはどうなのでしょうか。もう少しはっきり言えば、「医業収益」の面からはどうなのかということです。結論は、「医療機関の提供するサービスによりけり」ということになるのだと思いますが、混合診療を解禁した後の医療界を少し想像してみます。

著者プロフィール

梅村さとし(前参議院議員、元厚生労働大臣政務官、医師)●うめむら さとし氏。2001年阪大医学部卒。阪大病院、箕面市立病院などを経て、07年参院議員に当選。12年厚労大臣政務官に就任。13年7月の参院選で民主党から出馬も落選。現在、再び国政を目指して在野で勉強中。

連載の紹介

梅村さとしの『今の医療政策で満足ですか』
医師として医療政策の不備を感じ、32歳の若さで政治の世界に飛び込んだ梅村氏。参議院議員一期目にして厚生労働大臣政務官も務めた経験から、医療政策の問題点や今後のあり方だけでなく、一般人にはいまいち実態がつかめない政治の“裏側”も綴ります。

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