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ハーバードの教育方法(その4)
ハーバードの経験を現場で生かすには

2008/07/25

 ハーバードでの勉強の環境はとても充実していた。最新の知識だけを教えるのではなく、基礎的なことからゆっくりと時間をかけて教えていく―。これがハーバードの教育の大きな特徴ではないかと思う。

 また、“教える”というよりも、学生が本来持っているが表に出ていない才能や可能性を“引き出す”という教え方だとも感じた。同じ講義を受けても、十二分に生かせるか全く生かせないかは、人によって様々だろう。

 “教える”だけではなく、教えることで何かを“引き出す”ことが教育だと改めて感じた。“教”だけでは「教育」という字にはならない。“育”の部分が重要だ。

 1年の留学を終えた自分の今後の課題は、ハーバードで受けた教育をいかに日常の臨床現場で役立てるかということだ。

 まず導入したいと考えているのが“リーダーシップ論”である。この教えはとても印象的だった。ハーバードでのリーダーシップ論についての内容は以前の回を参照してもらいたいが、特に命を相手にする医療の分野ではリーダーシップ論が重要な概念であることは間違いないと確信している。ぜひ、研修医および若手に伝えたい。

 これまで自分が研修医に行ってきた教育は“Give and take”である。これについても、改めて考えてみたいと思っている。

 全科にわたる幅広い知識を持ち合わせているのは研修医だと自分は思っている。呼吸器専門医として呼吸器疾患の患者ばかりを主に診察していると、糖尿病や脳梗塞のマネジメントなど、他科の知識は薄れていくとともにアップデートもなかなか難しい。このような知識はむしろ研修医の方が持ち合わせていることが多々あり、分からないときは教えてもらうようにしている。研修医から自分も学ばせてもらっているというわけだ。

著者プロフィール

内山 伸(ハーバード公衆衛生大学院生)●うちやま のぼる氏。1999年佐賀医大(現佐賀大学)卒後、1999〜2001年聖路加国際病院内科レジデント、2001年同チーフレジデント、2002年同病院呼吸器内科。2007年7月留学。

連載の紹介

内山 伸の「ハーバード留学日記」
2007年7月から1年間、米国ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)に留学した内山氏。日々の授業の内容や米国の医療事情、ボストンでの生活を紹介します。

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