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ダナの回診を見学(ダナとの再会 その2)

2007/10/16

 自然あふれるダナの自宅で素晴らしい時間を過ごした翌日、朝6時に起きてダナと一緒に、SyracuseにあるState University of New York(SUNY)のメディカルセンターに向かった。呼吸器・集中治療部の准教授であるダナの回診を見学させてもらうためだ。

 ダナの仕事は7時から、ナイトフロー(夜間の当直医)からの引き継ぎで始まる。新入院患者などの報告は8時まで続くが、その時間を使って研修医への教育も行われる。教材として呼吸器・集中治療専門医試験のための問題集を使い、その場で皆で考え、ダナが問題の解説をする。

 8時からはフェローのプレゼンテーションに参加。フェローとはレジデンシーを終了した4~6年目くらいの医師を指し、3年の初期研修を終えて、より専門性のある研修を行う。彼らは自分が担当した症例の説明と考察を指導医の前でプレゼンテーションし、質問に答えなくてはならない。この日は、コカイン中毒と肺胞出血についてのプレゼンテーションが行われていた。その後、ダナはサビック教授を紹介してくれた。

 フェローの発表が終わると9時くらいから病棟の回診が始まる。ダナと5年目のフェロー1人、レジデント1人、インターン2人、3年生の学生3人が1つのチームとなって回診を行う。全18人の患者をレジデントがすべて把握することになっており、かなり大変な業務とのことである。ダナは准教授だが、その下に付くのは5年目のフェローであり、ダナの指示の下、検査の時間調整などを行っていた。

 疾患は、肺炎からCOPDの急性増悪、神経筋疾患による慢性呼吸不全、日本ではまれな嚢胞性線維症と、多岐にわたる。ダナはレジデントやインターンの報告を病室前で聞き、必要に応じて助言や指示を与えていた。CT写真を丁寧に説明したり、肺線維症を簡単にレクチャーしたり、聴診をさせたり…という感じである。患者が複数の病棟に入院しているため、一行は縦横無尽に病棟を回診していく。

 この回診風景は自分が研修をしていたときに経験した回診とほとんど同じであった。ダナの部屋に置かれた「Best Teacher」の盾が示す通り、実に丁寧に教えている。レジデントやインターンが質問に答えられなくても、「なぜそんなことも知らないのか」といった雰囲気はちっとも見せない。サマーコースでは生徒同士として接していたが、白衣を着ると一変して素晴らしい臨床医であり、教育者である。この姿をぜひ見習いたいと思う。

著者プロフィール

内山 伸(ハーバード公衆衛生大学院生)●うちやま のぼる氏。1999年佐賀医大(現佐賀大学)卒後、1999〜2001年聖路加国際病院内科レジデント、2001年同チーフレジデント、2002年同病院呼吸器内科。2007年7月留学。

連載の紹介

内山 伸の「ハーバード留学日記」
2007年7月から1年間、米国ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)に留学した内山氏。日々の授業の内容や米国の医療事情、ボストンでの生活を紹介します。

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