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南の島でのんびり…とは行かなかったバリ島訪問(その3)
バリの怪しげ両替商と患者の不安感

2012/04/20
津久井宏行

 普通の患者さんにとって、手術や入院は非日常の出来事です。しかし、病院で働く我々にはそれらが日常になってしまい、患者さんは非日常の中にいるということを、ややもすると忘れがちです。そんな認識を新たにさせてくれる場面が、今回の旅行中にありました。

 最近の海外旅行では、クレジットカード1枚あれば、買い物やホテルでの支払いは事足りるようになってきていますが、タクシーや小さなお店では、現地通貨が必要になることがあります。インドネシアの通貨はルピア。1円=約100ルピアなので、1万円も両替すると、100万ルピアにもなります。タクシーの街乗りや小さなお店での支払いは数百円程度のことがほとんどなので、1万ルピア札(約100円)を持っていると使い勝手が良く、1万ルピア札で両替してもらいました。紙幣が100枚も手元に入ってくるので、何となくリッチな気分になれます。

 バリに向かう飛行機の中で旅行ガイドブックを読んでいると、「悪徳な両替商がいて、紙幣のカウントをごまかしたり、店頭のレートが良い場合には多額の手数料を要求することがあるので、注意!」と書いてありました。そんな予備知識を頭に入れて到着したバリ空港でびっくりしたのは、10軒以上が軒を連ねる両替商。カウンターの向こうから、しきりに手招きして、客引きをしてきます。

 まるで、繁華街の客引きのような状態で、何となく引いてしまいます。しかし、現地通貨がないのも困るので、警戒しつつも、そのうちの1軒で両替をすることにしました。両替自体は何事もなく、分厚い札束を渡されました。

悪徳両替商、いよいよ登場?
 後日、滞在していたリゾートホテルで両替をしたところ、空港の両替商とは比較にならないほど、レートが悪い。ホテル内のほかのサービスと同様、両替レートもリゾート価格です。空港の怪しげな両替商は「結構まともな商売をしていたんだな~」と、後になって気づきます。

 銀座の高級店に迷い込んでしまった時のような気分ですが、これも経験!と、ホテルでも両替をすることに。すると、紙幣を1枚1枚、丁寧にカウントしてくれて、最後は笑顔で渡してくれました。あ~、日本と同じ、いやそれ以上のHospitality! レートは悪いけど、これはこれでいいかも。顧客(私)の心をがっちりつかみます。

 両替商は街の至る所にあり、店によってレートが全く異なります。その中で比較的安全そうで、レートの良いコンビニがありました(コンビニで両替というのも、すでに怪しげなのですが…)。お店に入り、レジのお姉さんに両替をお願いすると、地べたに座り、たばこを吸っている青年を指差します。「えっ、この人が両替商??」。

著者プロフィール

津久井宏行(東京女子医大心臓血管外科准講師)●つくい ひろゆき氏。1995年新潟大卒。2003年渡米。06年ピッツバーグ大学メディカルセンターAdvanced Adult Cardiac Surgery Fellow。2009年より東京女子医大。

連載の紹介

津久井宏行の「アメリカ視点、日本マインド」
米国で6年間心臓外科医として働いた津久井氏。「米国の優れた点を取り入れ、日本の長所をもっと伸ばせば、日本の医療は絶対に良くなる」との信念の下、両国での臨床経験に基づいた現場発の医療改革案を発信します。

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