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トレーニングシステムには国際的ネットワークが必要だ

2010/07/01
津久井宏行

 先日、ドイツで開催された第13回国際低侵襲心臓外科学会(International Society for Minimally Invasive Cardiothoracic Surgery:ISMICS)で、心臓外科医のトレーニングシステムについて発表する機会を得た。

 私が発表したのは、International Fellows and Residents Luncheon(Session Director:Francis D. Ferdinand)というセッション。世界各国のレジデントやフェローが、それぞれの国の心臓外科医のトレーニングシステムの問題点などを話し合い、より良いトレーニングシステムの構築を目指そうという主旨で開催された(発表内容は、近日中にISMICSのホームページに掲載される予定)。

 今回は「若手心臓外科医の会」(Japanese Association of Young Cardiac Surgeons:JAYCS)の世話人である三重大胸部心臓血管外科の高林新先生にお声を掛けていただき、発表することになった。高林先生が世話人を務めるJAYCSは、日本の心臓外科研修制度を含め、若手心臓外科医を取り巻く諸問題を自ら検討するために、2008年に若手心臓外科医が設立した会(詳細はこちら)。既に加入者は200人以上に上り、活発に活動している。

 学会のセッションには、埼玉医大心臓血管外科の河田光弘先生が登壇し、これまでのJAYCSの活動内容を発表。続いて私が、国際的ネットワーク作りの必要性を訴えた。

 私は常々、心臓外科医のトレーニングシステムをより良いものにするために国際的ネットワークが必要だと主張している。というのも、世界中で心臓外科医のトレーニングが行われているが、その内容は国ごとに異なるからだ。

 特に、日本で経験を積む機会に恵まれなかった外科医は、「トレーニングシステムの構築が諸外国に遅れたために、未だに十分なトレーニングが行われず良い成績を出せない」と考えがちだ。しかし実際は、世界でも有数の成績を誇っている。

 このことは、良い成績を出すための過程は異なっても、最終的には同じような成績を出すことができるということを証明しているのではないだろうか。言い換えれば、良い成績を出すための方法は1つではないわけだ。であれば、それぞれの国の良い点を結集すれば、より良い成績を出すトレーニングシステムが構築できる可能性があると思う。

著者プロフィール

津久井宏行(東京女子医大心臓血管外科准講師)●つくい ひろゆき氏。1995年新潟大卒。2003年渡米。06年ピッツバーグ大学メディカルセンターAdvanced Adult Cardiac Surgery Fellow。2009年より東京女子医大。

連載の紹介

津久井宏行の「アメリカ視点、日本マインド」
米国で6年間心臓外科医として働いた津久井氏。「米国の優れた点を取り入れ、日本の長所をもっと伸ばせば、日本の医療は絶対に良くなる」との信念の下、両国での臨床経験に基づいた現場発の医療改革案を発信します。

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