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チーム医療の浸透度のチェック法

2009/11/19
津久井宏行

 あなたは患者の何割を背負って治療していますか?

 日本でもチーム医療の必要性や重要性が説かれるようになって、かなりの年月が過ぎたように思う。しかしながら、日本に帰ってきて、「日本のチーム医療はまだまだ道半ばだなぁ」という印象を持った。

 患者さんの治療方針を巡って、担当医(もしくは、最初に担当した科)が治療決定権を持っていることが多く、また、医師間においても、しばしば年長者の治療指針が選択されており、私が研修医であったころと大きな変化がないように感じたからだ。

 アメリカで、心臓移植や左室補助人工心臓(LVAD)を使った重症心不全治療のフェローをしていたころの話である。私はそこで、典型的なチーム医療の姿を見た。

 週1度の病棟回診とカンファレンスには、外科医はもちろんのこと、循環器内科医、精神科医、感染症科医、薬剤師、臨床工学技師、ナースプラクティショナー(NP)、移植コーディネーター、ソーシャルワーカーなどが参加していた。移植待機中やLVAD植込み後の患者さんのアップデート(生検の結果、感染症の具合、在宅治療の現況など)が行われるとともに、話し合いで俎上に載った問題点に関しては、それぞれの専門家が意見を述べ、その解決方法を見い出す作業が行われていた。

 たとえば、LVAD患者の感染症の問題であれば、まず、患者さんと日々接触しているNPが症状やデータを提示し、それに対して、感染症科医が意見を述べる。心臓移植後の拒絶反応が起こった場合は、病理医の見解が提示されると、薬剤師が免疫抑制療法を、循環器内科医が内科的治療の提案をする。加えてコーディネーターから再移植登録を含めた次善策を提案するといった感じだ。移植手術をした外科医がすべてを決定するといった風潮はないし、縄張り意識も希薄。医師-医師間、科-科間、医師-他職種間がフラットな関係だった。お互いがプロフェッショナルとして、自分の役割を淡々とこなしていく。そして、結果的にチーム医療が成り立っていた。

 日本に帰ってきてから、当施設の重症心不全治療のまとめ役を任された。週1回、循環器内科医、循環器小児科医、麻酔科医、心臓外科医、臨床工学技師、看護師、薬剤師などが集まって、カンファレンスを行っている。当初は、出席者が少なくて、とても寂しいカンファレンスだった。「どうして、今一つ盛り上がらないのだろう?」と悩んだ。

著者プロフィール

津久井宏行(東京女子医大心臓血管外科准講師)●つくい ひろゆき氏。1995年新潟大卒。2003年渡米。06年ピッツバーグ大学メディカルセンターAdvanced Adult Cardiac Surgery Fellow。2009年より東京女子医大。

連載の紹介

津久井宏行の「アメリカ視点、日本マインド」
米国で6年間心臓外科医として働いた津久井氏。「米国の優れた点を取り入れ、日本の長所をもっと伸ばせば、日本の医療は絶対に良くなる」との信念の下、両国での臨床経験に基づいた現場発の医療改革案を発信します。

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