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研修医のしつけは指導医の仕事?

2009/09/23
津久井宏行

 先日、厚生労働省認定の「臨床研修指導医講習会」に参加する機会を得た。講習会は、土日の2日間にわたり、第1日目は9時から21時まで、第2日目は9時から17時までと、合計20時間にも及んだ。院内で行なわれたのだが、「講習に集中してもらうため」という理由で、院内PHSの持ち込みも禁止され、ほぼ“軟禁”状態だった。思わず、大学受験前の予備校の合宿セミナーを思い出したほどだ。

 講習会には、私のような指導医クラスの医師が50~60人参加し、8人くらいずつのグループに分かれた。そして、各グループには、われわれを指導するベテランの指導医がつく。指導してくださった先生方は、学内のみならず、学外からも参加されていた。さらに学長や医学部長まで出席し、その力の入れように並々ならぬものを感じた。ちなみにベテラン指導医の先生方は、年2回、この講習会を土日返上で行っているとのことで、頭が下がる思いだった。

 講習会の内容は非常に濃いものだった。「今の研修医制度の問題点を掘り下げる」というトピックから始まり、まずは各科の先生方が、自分の科をローテートしている研修医の実例を挙げ、さまざまな意見を述べた。その中で、少々驚いたのが、研修医の職業人としての基本的マナーや態度が不足しているといったものだった。具体的には、「あいさつができない」「遅刻をする」「無断欠勤」「自分が興味のない科では、サボる」などなど…。

 幸いなことに、私の科には、希望してローテートしてくる研修医が多いので、モチベーションが高く、そういった研修医が目に付いたことはなかった。そのため最初は、他科の先生方の言うことは本当なのだろうか?と疑問に思いながら、聞いていた。しかし、複数の先生が実例を話すのを聞き、どうやら本当らしいと分かってきた。

 さて、問題点があぶり出されると、次はそれをどうやって解決するかという議論へと進んだ。「どうしたらあいさつができる研修医になれるか」「どうすれば、遅刻しないようになるか」といったことが真剣に議論された。

 私は違和感を抱かずにはいられなかった。どうしてこんなことを、25~26歳のいい大人に、今さら教育する必要があるのだろうか…。そもそも、こんなことのために、多くの指導医が貴重な時間を割いて議論する必要があるのだろうか、と…。

著者プロフィール

津久井宏行(東京女子医大心臓血管外科准講師)●つくい ひろゆき氏。1995年新潟大卒。2003年渡米。06年ピッツバーグ大学メディカルセンターAdvanced Adult Cardiac Surgery Fellow。2009年より東京女子医大。

連載の紹介

津久井宏行の「アメリカ視点、日本マインド」
米国で6年間心臓外科医として働いた津久井氏。「米国の優れた点を取り入れ、日本の長所をもっと伸ばせば、日本の医療は絶対に良くなる」との信念の下、両国での臨床経験に基づいた現場発の医療改革案を発信します。

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