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家庭医の役目は都会と僻地で違っていい

2008/12/05

 国民が求める地域の理想の医師像としての「家庭医」は今、医療者の中でも国民の中でも、人によってその認識はバラバラだと思います。そもそも今まで、どういった人が求められているのか、データが全くない。みな印象と少ない経験から話をしていたのです。

 今回、「医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医のあり方に関する研究班」として、国民が求める「家庭医」の定義を作る以上、早急に客観的な調査を行い、ある程度それを参考にして考えるべきだと思っています。

僻地では代わりの人員が欠かせない

 ここでは、議論のたたき台として、今私が考えている「家庭医」のイメージをお話しします。

 まず、大都会で求められる「家庭医」と、僻地での「家庭医」は、求められる能力が違うでしょう。大きく分けて考えないといけないかもしれない。あるいは、基本的には同じで、僻地に派遣されるときには別のトレーニングを受ければよいのかもしれない。

 まず大都会の場合、患者としては頼る診療所・病院がたくさんあります。そうすると、守備範囲はある程度少なくなってもいいでしょう。ただ、自分の専門分野があって、「あの先生は何でも相談できるけど、一番得意なのはこの分野」といわれるようなものがあると強みになりますね。

 超音波やCTなどの検査機器を導入して、専門的な診療をする診療所があってもいいと思うんですね。そういった診療所が、今流行りのビル診療所などでグループ診療をやったら、それはある程度大きな病院の外来部門に相当するレベルの総合力が持てるかもしれません。ただし、その場合には、緊急入院する場合にタイアップする病院が近くにないと厳しいでしょう。

 その場合の教育は、総合臨床医としてのローテーションはきちんとやりつつ、特に循環器については長く経験を持ち、同級生の教授と同等の自信がある、といった医師がいたっていいわけです。
 
 一方、僻地の場合には、救急でも夜間臨床でも、全部自分で診ないといけません。1人あるいは2人である程度カバーしなくてはならない。妊娠しているかどうか、妊娠が正常な経過なのかどうか、目にごみが入った、耳に虫が入った、そういったことにも対応できないといけないでしょう。

 彼らの生活をバックアップする体制も重要です。僻地の場合、24時間待機態勢になるけど、救急の頻度が少ないから、そう精神的に追い詰められるものではないでしょう。むしろ大事なのは、24時間365日全部自分でやるのではなく、ある期間は代替要員が行くといった体制だと思います。自分が赴任することを考えたらそうですよね。

 例えば、週末休暇を取って、親元に戻って墓参りをしたい、夏休みをせめて1週間取りたい、といったニーズがあるでしょう。

著者プロフィール

土屋了介(国立がんセンター中央病院院長)●つちや りょうすけ氏。1970年慶応義塾大卒。慶応病院外科、国立がんセンター病院外科を経て、2006年より現職。

連載の紹介

土屋了介の「良医をつくる」
「良医を育てる新しい仕組みをみんなで作り上げよう」。医学教育、専門医制度の論客として知られる土屋氏が、舛添厚労大臣直轄の会議と同時進行で議論のタネを提供。医師、医学生、医療関係者から広く意見を募ります。

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