日経メディカルのロゴ画像

夫の浮気に腹を立て、娘を置いて家を出た女医
中年の孤独と被虐待児の悲哀から始まる『草原の椅子』(2013年)

2015/05/18
冨田和巳
中年の孤独と被虐待児の悲哀から始まる『草原の椅子』(2013年)の画像

 画面に突然、パキスタンの辺境を乗合バスで旅する日本人の熟年男性2人と中年女性1人、5歳の男の子という「訳あり」に見える奇妙な4人組が登場する。「とうとう来ましたね」という女性の言葉の後、すぐに場面は東京に替わる。本作の始まり方も、最初に「ちょい」重要な場面を、何も分からない観客に少し見せる、最近の映画の定石である。

著者プロフィール

冨田和巳氏(こども心身医療研究所所長/大阪総合保育大学児童保育学部教授)●とみたかずみ氏。1967年和歌山県立医大卒。小学生の頃から映画を観つづけ、映画鑑賞が最大の趣味。『小児心身医学の臨床』(診断と治療社)、『小児心療内科読本』(医学書院)などでも映画を扱ったコラムを執筆した。

連載の紹介

冨田和巳の「映画で考える医療と社会」
今や、DVDや映画専用チャンネルなど、映画は自宅で簡単に鑑賞できる時代です。これまで映画館に行く時間がとれなかった映画好きの医師に向けて、医療・医師を中心とした作品を紹介します。映画評論家風のコメントではなく、臨床医の立場から、映画を通して見た医療と社会について意見/異見を綴ります。

この記事を読んでいる人におすすめ