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危うく不法入国の片棒を担ぐことに!

2013/07/31

 7月某日の朝、Gmailをチェックすると、アフリカのN国P病院の循環器医C先生から「緊急!」と題するメール。

 C先生って誰だったかなぁ? と思いつつそのメールを開くと、なんでも2年前のヨーロッパの学会で一緒に食事をしたとのこと。覚えてないけれど、P病院のホームページを見にいくと、確かに病院も循環器医C先生も実在するから、きっと食事したんだ。

 で、何が緊急なの? と読み進んでいくと、僧帽弁狭窄症で心不全になった青年を手術したいが、N国では無理だからどこか適当な施設を紹介してほしいとのこと。

 え~っ、アフリカには知人はいないし、困ったなぁ~。イタリアのマッサにいるDr.MattiaとかミラノのDr.Lorenzoはどう? アブダビにも友人いるよ。フランス語圏がいいならば、リヨンのDr.Olivierも優しい人よ! と返事をしたところ、C先生はお前のところはどう? と言ってきた。

 え~っ、だって日本は遠いよ、僕はいいけれど・・・。

 じゃあ、上尾の病院に聞いてみるねって返事をしておいた。外国からの患者を受け入れる場合の事務手続きが大変かもしれないので。以前の勤務先である昭和大学で、かつてサイパンからの患者を受け入れたとき、大学は大歓迎と言ったくせに、病院レベルでは何もしてくれず、保険会社との連絡、医療費の計算と支払い、口座番号のチェックなど全て教授室レベルで対応しなくてはならなくて、とっても面倒だった。今は秘書さんもいないのでそんなこと自分ではとても・・・。

 ところが、上尾中央総合病院はすごい! 院長がOKを出すや事務方からすぐに回答。保険なし自費かつ保証人なしならば出来高2倍をチャージ(これは一般的というか良心的、3倍の所もあるよ。某J大学とか・・・)、N国ならばクレジットはあり得ないし、外貨を持ってくるわけにもいかない。だから上尾の病院の銀行口座に送金されたことが確認できれば、いつでも受け入れ可能! とのこと。

 N国の患者にメールでその旨を連絡しようとしたら、事務方がin voiceまで作成してくれました! あっそうそう医療損害保険は適応になります!との報告までを含めて、その対応のスピードには思わず拍手!!

 でもあまりに高額だし、その他に日本までの往復旅費が掛かるから、きっと吃驚して他行くよねぇと思っていたら、「問題ない、病院に10万USドル振り込む」との連絡! こっちが吃驚! すごいお金持ち?

 そうしているとC先生から、Takeo困った! 患者がパスポートを更新するために時間が掛かる。強いてはビザ発給に協力してくれ、とのこと。
 

著者プロフィール

手取屋岳夫●てどりや たけお氏。1987年金沢大医学部卒。92年同大大学院卒。95年ドイツベルリン心臓センター。00年シドニーセントビンセント病院心臓肺移植ユニット。02年昭和大横浜市北部病院循環器センター助教授。04年同大胸部心臓血管外科主任教授。12年上尾中央総合病院心臓血管外科。

連載の紹介

手取屋岳夫の「外科道日誌」
気付けば四半世紀も心臓外科をやってしまった!大学教授をクビになった一人の心臓外科医として、成熟しきっていない社会人として、これからの日本の医療を担う人たちへチョロッとしたメッセージを送ります!

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