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PMDAの若手勉強会への期待と不安

2013/06/28

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の若手審査委員たちが、日本の医療機器の承認・認証について独自の勉強会を始めました。その名も「医療機器臨床評価研究会」。

 PMDAのOBの方も手弁当でこの会に協力しています。で、僕はといえば、以前PMDAの専門協議に外部専門家として会議に参加したことがあり、その縁もあって、オブザーバーかつコメンテーター的立場として参加させてもらっています。

 先日、その第2回が休日返上で栃木県の那須高原にて開催されました。今回のテーマは、大きく分けて3つ。(1)海外データの使用と臨床試験の必要性、(2)日本における医療機器開発の課題、(3)承認内容と実際の臨床における使用実態の乖離──についてでした。

 どれも面白いけれど、特に(1)に関しては、日本では承認過程の複雑さ、高い諸費用、時間が掛かり過ぎるという三重苦状態です。この承認審査に海外データを使用することで日本での臨床試験が不要になり、承認過程がよりスピーディーかつ安価になるのでは、というのです。素晴らしい!

 ご存じのように、日本の医療機器承認に関しては、費用の高さと掛かる時間といったら他国の追従を許さないぶっちぎりの1位です。最近は改善傾向にはあるものの、最も厳しいものでは承認までに3年間、5億円ともいわれています。

 そのため、医療機器メーカーの中には、既に日本をマーケットの対象から外している企業が少なくありません。Vascutekという人工血管メーカーのように、親会社が日本企業であるにもかかわらず、日本をマーケットから除外している企業もあります。

 (2)は、上記のような状況だから日本発の医療機器、特に治療用の医療機器開発が進んでいないことが問題だとして、これをなんとかするにはどうしたらいいか、というテーマです。

 それぞれ異なる立場にいる参加者たちが、各自の問題点を共有し議論するというセッションでした。医療ならではのマーケットの制限があり、特に日本では欧米のような開発上の免責機能を有さないために研究者の人材育成や、市場に出るまでのincubationが未熟という指摘もありました。なるほど、もっともな分析です!

 それにしても、PMDAの活動にご一緒させてもらって感心したことは、彼らのひた向きで真面目な仕事ぶりです。恐れ入りますと言ったところです。

 その方向性はともかくとして、承認が遅いのは意地悪じゃなかったのね!! だって、本当に理解に苦しむんだもの。引き延ばし、あるいは嫌がらせとも思えるような申請過程にイライラしている臨床医は、僕だけではないと思います。

 本当に特に若手の皆さんの医療分野に対する勉強の仕方は素晴らしく、この国のhealthcareを少しでも良くしようと真剣に審査していることは間違いないと思うのですが・・・。それでも、どうしてか彼らが発する言葉には違和感を覚えてしまうのです。
 

著者プロフィール

手取屋岳夫●てどりや たけお氏。1987年金沢大医学部卒。92年同大大学院卒。95年ドイツベルリン心臓センター。00年シドニーセントビンセント病院心臓肺移植ユニット。02年昭和大横浜市北部病院循環器センター助教授。04年同大胸部心臓血管外科主任教授。12年上尾中央総合病院心臓血管外科。

連載の紹介

手取屋岳夫の「外科道日誌」
気付けば四半世紀も心臓外科をやってしまった!大学教授をクビになった一人の心臓外科医として、成熟しきっていない社会人として、これからの日本の医療を担う人たちへチョロッとしたメッセージを送ります!

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