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「Medical Design Award」やっちゃいました!

2011/08/24

 「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」委員長としてのお仕事に忙殺されている畑村洋太郎先生が、これまで様々な分野での事故や失敗に対峙してきた姿を「すごいなぁ」と傍らで拝見しながら、医療においても同様のアクションを何とか実現したいと思って僕の少々頼りない頭で考えたのがMedical Design Award (MDA) です。

 MDAの目的は、様々なリスクにあふれる医療・介護を、現場感覚とデザインのコラボレーションにより変革(イノベーション)することにあります。具体的には、「入院生活」「情報」「介護」「輸液ライン」などのカテゴリー別に、現場が抱える課題の解決につながるアイデアやツール、プロダクトを募集しました。各種イベントの開催を通じて参加者に医療・介護現場の「体験」を提供し、課題解決につながる応募を促進する「体験型コンテスト」を目指したのも特徴です。

 そもそも医療現場は危険が一杯です。医療者は、様々なリスクを背負いながらの診療に当たっています。一方、患者さんには、病気を治したい、痛みを取り除きたい、不安を払拭したいなどの思いがあり、医療機関に安らぎや癒しを求めます。医療を施す側、受ける側ともに達成したいゴールは同じですが、立場の違いから、問題解決への両者の考え方が相反するケースもしばしば生じます。

 そんな複雑な課題に対し、デザインが、両者の希望をともにかなえるための“仲人”というスタンスで接してくれれば、新しい可能性が開けるかもしれない。そう考えたのが、MDAを企画したきっかけでした(関連記事:2010.11.5「『メディカル デザイン アワード』やっちゃいます!」)。

 運営事務局を引き受けてくれた八村大輔さん率いるMedithinkが頑張ってくれたおかげで、今年6月、2010年度の審査と授賞式を無事開催できました。言い出しっぺの僕としても、とりあえずホッと一息です(と言いながら、実は審査会も授賞式もすっぽかしてしまい、本来であれば切腹ものなんですが…)。

 それにしても、集まったアイデアの数々の楽しかったこと! 大手の医療機器メーカーのインハウスデザイナー(企業内デザイナー)からは出てこない発想が多くあり、これは、現場の要求事項をしっかり熟知している医療従事者の声を生かしたデザインゆえの結果だと、僕は確信しています。

 現場感覚はMDAでも重要視したポイントで、そのために、先でも触れたように「体験型コンテスト」をコンセプトに施設見学なども多く計画していたのですが、当初予定していたほどには実施できませんでした。院長は了承してくれたものの事務方が独自判断でストップしてしまったり、現場レベルでは協力的な姿勢だったものの、院内の各部署の調整や根回しに時間がかかり最終的には見送りになってしまったり…。結局のところ、我々MDAスタッフが、“現場”を軽く見ていたのかもしれません。

メーカーからも「現場をよく知る医療従事者だからこそのデザイン」

連載の紹介

昭和大元教授「手取屋岳夫の独り言」
「最近の日本の医療って、ちょっとおかしくない?」…と愚痴は出るものの、医師という仕事はやっぱり素晴らしい!一外科医として、大学教授として、教育者として感じた喜び・憤り・疑問などを、時に熱く、時には軽〜く、語ります。

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