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「同性の恋人の自殺を手助けした」―英国司会者の告白の波紋

2010/03/12

 わが国の安楽死尊厳死の議論は、以前このブログで取り上げた川崎ぜんそく患者事件に最高裁判所判決が下されたり、富山県の市立病院の人工呼吸器取り外しが不起訴になったりで小康状態になっています(2009.12.18「最高裁判決に見る安楽死・尊厳死の難しさ」)。

 今回は、3月7日付北海道新聞のロンドン特派員リポートが知らせる英国とスイスの安楽死規制の動向をご紹介して、「死ぬ権利」の最近の国際的動向について考えてみたいと思います。

 「死ぬ瞬間を選ぶのは人間の権利だ。法律なんて、くそくらえという時もある」。2月上旬、英BBCの番組で、70歳の司会者がエイズの末期患者だった同性の恋人を窒息死させたと告白しました。英国では、末期患者らの安楽死を手助けした者を自殺ほう助罪に問うかどうかを議論している最中で、この告白は英国社会を強く揺さぶったといいます。

 英国は、自殺ほう助は法定刑としては最高の禁固14年と定められています。安楽死を望む末期患者などが、一定の条件下で安楽死が認められる海外に行って自死を選ぶケースが多いそうです。一方スイスでは、安楽死法はないものの、利己的な動機に基づく自殺ほう助のみを違法としており、利益目的でなければ、医師などの第三者による致死薬の投与で自殺することが認められています。こういう事情から、安楽死を求めてスイスに渡った英国人は、2002年以降で110人を超えるそうです。

 そこで、英検察庁は2月下旬、自殺ほう助で立件する場合としない場合を公表しました。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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