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東京・町田市vs.あいおい損保―国保財政難が招いた新たな対立

2010/03/09

 少し前に新聞各紙が、交通事故被害者の治療費負担を巡って、東京都町田市が大手損保会社「あいおい損害保険」を相手取り損害賠償を求めて、東京地裁に提訴を決めたと報じました。

 事件の経緯はこうです。2002年10月に、市内の元会社員の男性が、運転中に追突されました。事故後も足に痛みが残り、「反射性交感神経性ジストロフィー」と診断され、障害者認定も受けています。

 事故から約1年半後に、損害保険会社は「症状固定」したとして保険金の支払いを打ち切り、示談を申し入れました。しかし、男性は今後の回復は見込めなくても、これ以上悪化しないための治療は必要であり、治療費がすべて自己負担になるのは不安だとして、その後も国民健康保険を使って治療を続けています。市は、保険金が支払われなくなってからの治療費のうち、市負担分の312万円を損保会社に請求すべく提訴に及ぶというのです。

 国民健康保険法第64条第1項は以下のように、自治体は国保で交通事故等の第三者による傷病の治療費を肩代わりしても、後で加害者に請求できることを明記しています。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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