1998年11月16日、川崎市のK病院で医師が、意識不明の患者の気管チューブを抜去し、筋弛緩剤を投与して死に至らしめたという事件で、12月7日に最高裁で上告棄却の判決が下され、殺人罪による有罪判決が確定しました。結局量刑は、高裁の下した懲役1年6月、執行猶予3年となりました。
患者は、当時58歳の大工さんで、気管支喘息で10年以上前からK病院に通院していました。1998年11月2日に重積発作を起こし、心肺停止状態でK病院に搬入。救急処置によって心肺は蘇生したものの、意識は戻らず、人工呼吸器による治療を受けつつICUに入室しました。その後、人工呼吸器からは離脱したものの死亡するまで昏睡状態は続きました。最高裁判所は、上告を棄却して殺人罪を認めた理由について以下のように述べています。
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著者プロフィール
竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介
竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。
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