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ここまで来た!歯科医院の過当競争

2009/09/18

 歯科医の世界も日々厳しさを増しているというニュースを、近ごろよく耳にします。東京歯科保険医協会は今年の1月に、会報を通じ、2007年度に350施設が廃院したとみられると発表しました。とりわけ都市部は歯科診療所の競争が激しく、東京23区内では歯科医院の数がコンビニエンスストアの2倍となる超過剰状態に陥っているそうです。

 厚生労働省の統計資料を見てみますと、2006年10月1日現在で、歯科診療所の全国総数は6万7392カ所で、前年の6万6732カ所に比べて660施設増えています。もちろん、これらの増減は新設から廃院を引いた結果ですから、廃院そのものの実数は分かりません。ただ、全国的に歯科診療所は増え続けてはいます。

 東京歯科保険医協会の計算では、07年度に23区内で新規開業した歯科医院は268施設。一方、保険診療の届け出を取り下げた歯科医院は707施設で、このうち357施設がいわゆる「遡及」(事業承継などによる特別例)、残り350施設が廃院したとみています。仮に、これが東京のような都会だけでなく、全国的に同じような傾向だとしますと、総数が増える中、相当の廃院数が存在するものと思われます。

 都会という立地条件や、歯科の有病率の高さというアドバンテージはあっても、コンビニの2倍にもなる数の歯科医院が存在すれば、確かにその経営は容易でないでしょう。院長が1人でやっている歯科医院でも、毎日患者が20人くらいは来ないと経営を維持するのは困難といわれています。それでも売り上げの多くの部分は、歯科衛生士の給与や歯科治療機器の減価償却に充てなければならないでしょうから、私のような門外漢でも、その厳しさは容易に想像できます。

 私の周りでも歯科医諸氏のシリアスな声を耳にします。医科と違って歯科医の新人は病院などの就職先があまりありません。また、歯科の治療機器は高額で、複数台必要ですから、まだ若いうちに開業するのは困難です。巨大法人化・チェーン化した“勝ち組”から、若い歯科医に「年収200万円くらいで雇いますよ」といったオファーがあるなど、厳しい現実を教えてもらうことがしばしばです。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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