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医療安全相談窓口への問い合わせに見る患者気質

2009/09/08

 2007年4月1日の改正医療法の施行により、都道府県並びに、保健所を設置する市および特別区は、「医療安全支援センター」を設けるよう努めなければならないことになりました(医療法第6条の11、同法6条の12)。

 わが街札幌も政令指定都市として、保健所内に「医療安全支援センター」を設置し、「医療安全相談窓口」や「医療安全推進協議会」を柱として、医療相談対応や医療安全の推進に取り組む医療機関に支援を行っています。

 医療相談については、法改正前の04年から医療安全相談窓口が設けられ、今年で5周年になります。08年度の相談件数は1000件を超え、市民の関心もだんだんと強くなってきているようです。今回は札幌市の08年度の相談状況を概観して、市民の医療意識を探ってみたいと思います。

 まず、相談件数ですが、08年度は1007件で、07年度の954件から増加しています。相談対象としては、一番多いのが病院に関してで400件あまり。次いで医科の診療所が200件足らず。歯科診療所が100件足らずで、薬局は数十件、その他が200件ほどです。診療科ごとにみると、精神科・心療内科が一番多く100件あまり、次いで歯科、内科、整形外科、産婦人科の20件あまりと続きます。

 相談内容で一番多いのが診療内容で200件あまり、次いで従業員の態度で150件ほどです。さらに医療事故などが100件足らず、それに治療費、医療機関の問い合わせが50件あまりと続きます。具体的にどのような事例があったかと見てみますと、次のようなケースが紹介されています。

 第1のケースは、歯科の転院希望で、「治療に納得できないので、別の歯科診療所を受診したい。紹介状とX線写真を希望したのだが、渡されたのは紹介状だけだった」というものです。相談者はX線写真などは自分のもので、医療機関に預けてあるとの認識だったため、医療機関に所有権と保存義務のあること、開示に別途料金のかかることを相談窓口で説明し、コピーを交付することで双方が合意したそうです。

 個人情報保護法の成立などもあって、個人情報を保存している媒体も自分のものと考えている人も増えました。このようなトラブルは、一般企業でもよく起こるようになってきています。時代といえばそれまでですが、開示の方法などもきちんと掲示しておくべきでしょう。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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