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「サクシン」が「スキサメトニウム注」に改名―薬の取り違え事故をどうなくすか
(2009.8.25訂正)

2009/08/21

 7月25日付の読売新聞は、筋弛緩剤の「サクシン」(製造・販売はアステラス製薬)の商品名の変更を伝えています。以前は麻酔の導入の定番といわれ、今でもやはり、麻酔科医やICUで働く医師にとってはなくてはならない強力な薬剤です。私も初めて全身麻酔をかけたときに、サクシンで誘発されるfasciculation(線維束性攣縮)が患者さんの全身に広がるとともに、全身の筋力が失われていくのを驚きの眼で見たことを覚えています。

 サクシンは1955年の販売開始以来、半世紀以上にわたり日々の医療業務に使われてきました。しかし、71年に名称の似た抗炎症剤「サクシゾン」(興和)が発売されたことから、薬剤の取り違えによる医療事故が起こるようになってしまいました。

 サクシゾンもステロイド薬ですので、それなりに強力な効果や副作用を生む可能性のある強力な薬剤です。一方、サクシンは麻酔時に気管挿管して人工呼吸を行う場合を除けば、注入後に患者から眼を離すと呼吸停止から死亡に至る危険があるより強力な薬剤です。両剤を取り違えて使用すれば大変なことになります。

 実際、昨年11月に、徳島県の病院でサクシゾンと間違えてサクシンを点滴した男性患者が死亡する医療事故が発生しました。厚生労働省は12月4日、「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について」と題した通知を都道府県知事や特別区区長などに宛てて出し、薬局や医療機関に以下の項目の実施を徹底するよう要請しています。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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