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札幌医大で医師の残業代未払い問題発覚―厳しさを増す医師の労働環境

2009/03/03

 2月26日、札幌医大は同大学病院の医師の時間外手当などが適正に支払われていない疑いがあるとして、内部調査に乗り出すことを明らかにしました。

 新聞各紙の報道によると、問題は次のような経緯で起こりました。2月12付で病院課から各診療科に、「予算額を使い切った診療科は時間外手当等の請求ができない」旨を明記した文書が配られました。

 病院は、「医師や看護師などの時間外手当類は、2008年度で約7億の予算を計上している」と説明しています。しかし、予算額を使い切った場合に、時間外手当などの請求ができないということは、支払われるべき残業代が支払われていないということになります。

 大学では理事や院長、学部長、事務長らで構成されるチームで内部調査を始めることになりました。大学が公立大学法人となった2007年4月以降について、教授や准教授ら教員約230人、医師約180人、計約410人の勤務実態を調査する予定になっています。

 このような医師の時間外手当未払い問題は、札幌医大だけの問題ではありません。既に広島大や島根大が労働基準法違反是正勧告を受けていますし、奈良県立奈良病院では、産婦人科医2人が2004年から2005年の2年間の当直手当などの未払い賃金として、県が支給した当直手当との差額分(2人合わせて約9230万円)の支払いを求める訴訟が、06年12月に提訴されています。この訴訟は、2月9日に結審し、4月22日に判決言い渡しの予定です。

 このような提訴が頻発する時代となっても、不払い疑惑が浮上したり、その結果、是正勧告を受けるケースが後を絶ちません。札幌中央労働基準監督署も、今回の札幌医大の件について、「個別案件には答えられないが問題があれば是正を求めていく」旨のコメントをしています。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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