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新しい年を占う―キーワードは「ぎりぎりの選択」

2009/01/05

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。さて、新しい年はどうなっていくのでしょうか?

 年末は医療に限らず、大変なニュースばかりでした。

 国際的には、イスラエルとハマスの衝突がきな臭いムードを醸成しています。オバマ政権誕生のニュースは米国にとどまらず世界の新しい流れを示唆して人々は目をみはりましたが、そのような画期的な状況を生んだのがサブプライムローン危機に端を発する世界同時不況となれば、オバマ政権が発足しても世界の状況が画期的に好転する保証は何もありません。むしろ五里霧中のスタートと言っていいでしょう。

 わが国はといえば、米国の高消費を背景に対米輸出に大きく依存してきましたから、自動車産業をはじめとして今回の世界同時不況の津波をもろに受けています。いくつかの町々では急遽解雇された非正規労働者が居場所を失ってさまよっています。大企業の城下町では、経常的に当て込んでいた地方法人税の9割も失うだろうところも出てくるということです。地方財政のリテラシーが高くない私のような人間から見ても、これはただごとでないなという感じがします。

 中央にせよ地方にせよ、政治はこのような状況を前提に政策を考えざるを得ません。しばらくは財政健全化というムチは入れないという方針で社会保障予算の減少にストップはかけることはできても、大きく予算的な手当てをすることは容易ではないでしょう。2兆円規模といわれる定額給付金プランを、社会保障のセーフティーネットの補強に振り向けろという意見も聞こえます。一方、ならばこういうところにという一点強化の声もほかにたくさんあり、実際にはそうはならない見込みの方が強いでしょう。

 与野党逆転や政界再編成の声もありますが、米国のオバマ圧勝と同じで、どのような勝者が現れても簡単に勝ち相撲のとれる予感はしません。

 こうして、行く年来る年の既に行った部分を凝視すると、来る年もそう簡単にスプレンディッドなことの期待できない、ちまちま耐えるだけの年かな?とペシミスティックな新春占いということになりそうです。
 
 ただ、希望なきにもあらずという思いもあります。年末もいくつかのいい流れに出合いました。

 例えば、産婦人科勤務医の逼迫している都立墨東病院に産婦人科開業医が協力して、週に数日当直の任に当たる計画が進んでいると年末のニュースで聞きました。

 合併症を持った妊婦の受け入れが困難だったことから、次の展開に進んでいるということのようです。昔からオープン病院の議論は多々あれ、実際には全くそういう風景の乏しかったわが国の都心で、大きな公立病院と開業医のコラボレーションが始まります。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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