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救急医療、変革のとき―持続可能なシステムを作れるか?

2008/11/14

 先日、東京で脳出血を起こした妊婦が、7カ所の医療機関に受け入れがかなわず死亡した事件について、当地北海道の事情も含めてお話ししました(2008.11.1「舛添vs石原論争を読む―どうなる?東京の救急医療」)。これを契機に、産科救急についての中央、当地で様々な動きが出てきているので、今回は、他科の救急システムの技術開発のニュースなどを含め、救急医療システムの改革の方向性を読んでみようと思います。

 まず中央では、10月31日、舛添要一厚生労働大臣は閣議後の記者会見で、産科と救急医療の連携の在り方を検討する専門家会合を厚生労働省に設置すると述べ、これに相当する「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」の初会合が11月5日、同省で開かれました。

 冒頭、舛添大臣は「12月までに集中的な審議を行い、周産期の地域医療体制の強化を図りたい」とあいさつし、年内に提言をまとめる方針を示しました。

 当地北海道では、11月10日の道議会決算特別委員会で、道が周産期母子医療センターが妊婦や新生児の受け入れができなかった事例を調査したところ、計4病院で137件あったという報告がなされました。

 北海道における「周産期母子医療センター」は、新生児集中治療室(NICU)や妊婦の集中治療室(MFICU)を備えた「総合周産期母子医療センター」が6病院と、それよりも小規模な「地域周産期母子センター」が25病院あります。

 このうち4つの地域センターが、医師不足で休止中です。また、総合センターでも市立札幌病院などは休止に至ってはいませんが、スタッフ不足で受け入れ困難な状況に陥ることもあることは、テレビや新聞などでしばしば報じられています。

 このような窮状にあるからこそ、遠隔地であっても搬送すべき次のレベルの病院は、東京などに比べ決まりやすいということはありますが、何十キロも離れたところに救急車やヘリコプターで運ばれること自体が大きな負担ですから、とても良い環境とはいえません。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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