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当世きっての医師論客3人に共通するメッセージ

2008/10/14

 今、市民向けの講演会で聴衆を引きつける医師論客といえばこの3人ではないでしょうか。今回そのような3人の講演に触れることができたので、その印象記をアップしたいと思います。

 まず1人目は日野原重明先生(聖路加国際病院理事長)。日野原先生のご講演はライブで聞くことはできませんでしたが、月刊誌の最新号に講演録が掲載されたので活字で読むことができました。あとの2人、鎌田實先生(諏訪中央病院名誉院長)と養老孟司先生については、目の前でライブにお話をうかがうことができました。

 月刊文芸春秋11月号には、「誰でも百歳まで生きられる」と題して、日野原先生が9月14日にホテルオークラ東京・文藝春秋特別講演会で語った内容に加筆修正したメッセージが掲載されています。そのご主張は「寿命とは自分の使える時間のこと。ならばそれを伸ばして百歳まで生きてみないか」ということに尽きます。

 日野原先生は、10歳のときに、腎臓炎を患い、さらに京大医学部1年生のときに結核に罹患されています。この自らの病気を通して医療や医学に接するという体験が、氏の医師への道の導きの糸になっています。

 この患者原体験が氏の医の原点となっているから、医学生や看護学生には、「君たち、学生のうちに、死なない程度に病気しなさいよ」とアドバイスされるそうです。そこには病者の苦痛への共感性を欠いては、真の医療はないという氏の信念がうかがえます。

 3年前から日野原先生は、方々の小学生に「いのち」の出前授業をされています。心臓の鼓動を聞かせ、子供たち自らが生きることの意味を問うチャンスを提供しておられます。

 偏差値教育で、ただただ名門校に進学することだけを目指していては、いのちを支える教育として根本のところが欠けてしまう。そのような信念が、このような教育活動の源泉になっているわけです。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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