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ネットでの遠隔診療―現状と希望

2008/09/16

 週に2回早朝から、ネットを利用した勉強会に参加しています。非常勤講師として近所の医大に出講した折に、医局のスタッフに教えていただいて参加するようになり、このネットカンファレンスの予定時刻にパソコンの前に座る習慣ができました。

 医大に詰めた講師役が放送用カメラの前に座って、あるいは遠隔地の講師役が病院のパソコンのウェブカメラの前に座って、症例のプレゼンテーションや、毎週テーマを変えてミニレクチャーを行います。近年の高速通信網の発達によって、どこにいてもインターネットを介してのカンファレンスが可能になっています。

 参加者も同様です。パソコンにウェブカメラとヘッドフォンとマイクを付ければ、単に会議の聴講者というだけでなく、医大の司会者役の医師や講師役の医師と双方向的なディスカッションが可能です。参加者全員が議論に加わることが可能なので、大学や基幹病院の医局など1ヵ所に集合しなくても、大所帯の医局会議風のカンファレンスができます。

 画像や音声のやりとりだけでなく、図表やチャット用ボードに書き込みもできますから、下手をすると顔を突き合わせての実際の会議よりも機動的なプレゼンテーションが可能です。北は利尻・礼文といった離島から、南は沖縄や鹿児島、長崎などの離島まで、非常に広い範囲でネットで一緒に勉強することができます。

 思えば、私が学生、研修医だった20~30年前に比べるとずいぶんと便利な世の中になったものです。そんな感慨にひたっていると、9月11日付の北海道新聞に、「ネット診療好評」という遠隔医療の最近を紹介する記事を見付けました。

 札幌のNPO法人「道神経難病研究会」がパソコンにウェブカメラを付けて、自宅にいる患者を診察して好評だというのです。

 パーキンソン病や脊髄小脳変性症などの神経難病は道内に約1万人いるそうですが、これらを診察する神経疾患の専門医は、どうしても都市部の札幌に偏ります。全国的に医療崩壊が叫ばれる中、北海道は非常に広大な土地を抱え、地方部に居住する患者さんたちにとっては医療機関で定期的なフォローを受けることすら非常に大変な作業です。このようなバックグラウンドを踏まえて、この研究会はインターネット利用の診察を進めているようです。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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