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“老医廃業”を促す?レセプトのオンライン請求義務化

2008/08/19

 2011年4月より、すべての保険医療機関において、レセプトオンライン請求が原則義務化されます。

 この来歴を簡単にお話すると、まず06年4月から従来の紙または電子媒体に加えて、オンラインによる請求も可能になりました。次に、病院は規模やコンピューターの機能・導入状況によって、400床以上は08年度から、400床未満は09年度からオンライン請求に限定されます。

 診療所は、コンピューターの導入状況により、既に導入している診療所は10年度から、それ以外は11年度からオンライン請求に限定されます。薬局もコンピューターを既に導入した薬局は09年度、それ以外は11年度からオンライン請求に限定されます。

 日本医師会は、今年の3月から4月に都道府県医師会を通じてアンケートを実施しました。その結果によると、約3600の施設が「廃院を考えている」と回答しています。今回はレセプトのオンライン義務化と廃院について考えてみます。

 このアンケート結果については、次のサイトに発表されています。調査期間は2008年3月17日~4月30日で、調査対象は各都道府県医師会に属する7万1799の病院・診療所の開設者、有効回答数は4万2130、有効回答率は58.7%でした。

 この中で注目されるのは、義務化への対応(複数回答)について「間に合うように対応」が50%、「厚生労働省の環境整備を待ちたい」が24%などと想定内の反応が多くを占める中で、約9%に相当する約3600施設が「廃院を考えている」と回答している点です。

 特にその6割近くを占めるのが、70歳以上の医師が開設する約2100施設です。つまり、高齢医師のかなりの部分が、このレセプトのオンライン義務化を契機にリタイアしようと考えているらしいのです。

 このレセプトのオンライン義務化には、医療系メーリングリストなどでも多くの批判が見られました。「このインターネットの時代に、ISDNを使わないといけないなんて時代錯誤だ」(この当初方針は後にブロードバンド可と変わったようです)「厚生労働省は、レセプトをオンラインでスピーディーに取り入れて、これをコンピューターで分析してより管理医療を進める算段だろう」「また医療器械屋に多額の費用を持っていかれる。国による費用補償があってしかるべきだ」等々さまざまなブーイングを耳にしました。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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