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医療ドラマは現実路線?―『Tomorrow』と『コード・ブルー』

2008/08/05

 7月31日付の朝日新聞夕刊は、医療ドラマ 現実路線」というタイトルで、地方の医療を主題にしたテレビドラマが話題になっていることを報じています。

 そのテレビドラマとは、巨額の赤字を抱える地方自治体病院を描くTBS系『Tomorrow』と、地方で切実に求められている救急医療体制を扱ったフジ系『コード・ブルー』の二作です。

 『コード・ブルー』は、先日このブログでご紹介したフライト・ドクターの青春群像を描いたものです。『Tomorrow』は、30億円の赤字を抱えた市民病院が、医師の確保もままならず、病院再建のためにアメリカ留学帰りの女性脳神経外科医がカリスマ再建屋として赴任したり、大学で医療事故を起こした外科医がこの市の職員に転職した後にカムバック、再びメスを握って活躍したり、と病院の内実まで扱ったドラマです。

 どちらも日本のどこにでもある地方都市が舞台で、内容も普通に起こり得るエピソードを描いている点では、従来の『ブラック・ジャック』などのゴッドハンド物とはずいぶん違います。

 この新聞記事も、公立病院が立ちゆかない医療崩壊やヘリコプターが出動しなければならない医療過疎という厳しい現実を反映している点で、「医療ドラマ 現実路線」と銘打たれたものと思われます。

 ところで、身近な医療者にこれらのドラマの感想を聞いてみると「医療現場というには、リアリティはどうでしょうか?」と首をかしげます。

 ドラマですから、『Tomorrow』のCPR(心肺蘇生法)時の心臓マッサージ(このところ正式には「胸骨圧迫」と呼ぶそうですが)が腕や手が屈曲しすぎ、胸骨を十分圧迫しているかどうか心配だというのは、実際の蘇生治療時のようにはいかないでしょうからおくにしても、気管挿管もなし、除細動器もなし、というのはリアリティに欠けそうです。

 また大きい手術でも全身管理する麻酔科医の関与もなさそうで、さらに帝王切開の後にリスクが高いところをやっと生まれた新生児が助産師にも、小児科医にもケアされている風もないと批評します。

 彼らは、医療ドラマでこのように重症者を容易に治すことのできるように描くと、非医療者の視聴者が、どんな病気や怪我でもササッと治せないのは、医師や看護師が下手くそだからと誤解されないか非常に危惧しています。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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