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病気と性格―洋の東西

2008/07/25

 今から40年ほど前に、米国の医師フリードマンとローゼンマンによって「タイプA」と呼ばれる性格や行動が心筋梗塞など虚血性心疾患のリスクファクターの一つである、と指摘されて以来、多くの研究が積み重ねられてきています。

 ここでいう「タイプA」とは、一言でいうと「active」ないし「aggressive」(活動的、積極的、攻撃的)な性格をいい、そうでない「タイプB」の人に比べて虚血性心疾患にかかる率が高いというお話です。

 このテーマに関してこれまでアジア人については、あまり疫学的な研究はなされてきませんでしたが、国際疫学会誌電子版に今月掲載された日本人の論文はこの問題を扱っています。

 この論文は、厚生労働省研究班(担当研究者、磯博康大阪大教授)の大規模調査を分析したものですが、40~69歳の男女8万6361人をフォローしたところ、669人が虚血性心疾患を発症しました。

 調査分析の結論は、全体として日本人においては「タイプA」性格は虚血性心疾患の発症リスクとはいえないが、男性の「タイプB」グループは発症のリスクが高いというものです。米国と逆の結果となったわけです。

 これは、単純な推測ですが、aggressiveに生きて成果を出さないと生きにくい米国では「タイプA」はリスクになるが、日本はなんだかんだといっても強く協調性を求める国柄です。男性が自分を押し殺すストレスは、非常に冠動脈にトキシックに働くというところでしょうか?

 ずいぶん昔、有名な精神分析家の著書に、日本の若者の悩みは「みんなと違う」と訴えるものが多いが、米国では「みんなと同じで凡庸だ」と訴えるものが多いとありました。

 このところ、わが国の若者も「個性がない」「自分らしさを見付けられない」との悩みをずいぶん耳にするようになりました。これからの男性も、協調性よりは打って出る活動性となれば、将来は話が違ってくるかもしれません。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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