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薬剤師はどこへ行く?―薬学部開設ラッシュの不安

2008/07/22

 3年ほど前のことですが、薬学部に進学しようかどうか迷っているという受験生から進路相談を受けました。もともと理系志望とのことですが、このところの理工離れの典型例か、理工系の学部や学科には食指は動かないとおっしゃいます。

 そこで消去法で薬学部か医学部を考えたものの、医学部は薬学部より難しそうだから、薬学部にしようかと思ったりする。しかし、このところ4年制から6年制に移行、あるいは併置などと制度改革時期と聞いている。これからのキャリアイメージがつかめないのだそうです。

 そういう趣旨の相談を受け、今まで現場でお付き合いのあった薬剤師さんたちのことを思い出したり、このところ仕事でご一緒する薬剤師さんたちの生き方について思いをめぐらせてみました。

 結局、私の回答は次のようなものでした。「このところ医療における薬剤師への期待は高まっている。医薬分業が進み、薬局で働く薬剤師も病院で働く薬剤師も専門知識を深め、医療に貢献することを期待されている。それゆえに薬剤師養成に6年制の導入もなされた。将来、仮に研究者になりたいと考えても、理工系の学部学科より臨床に近いし有利だとも思う」

 このような多分に建前論に傾いたアドバイスをしましたが、彼は何を思ったのか入試の直前に「落ちてもいいから医学部を受けてみる」と宗旨変えをしていました。

 まあ、そのまま合格してしまったのですが、「医者も大変だよな」と先輩気取りで、ときどき学校の様子を伺って、取材したりしています。

 このようなことがあったからか、その後も新聞などで「○○大学薬学部薬学科新設!」などという広告が載っていると、どうしても目が行ってしまいます。この新設が実に多いのです。「このところやけに開設ラッシュじゃないか!?」という印象です。

 データを調べてみると、後でお話するように志願者が定員に満たないところが出るようになった今でも、薬学部開設を目指している大学がいくつもあります。

 2008年度にも薬学部開設を目指している大学が、鈴鹿医療科学大学、立命館大学、つくば薬科大学(仮称)と少なくとも3大学あります。申請通り承認されれば、2010年度には76大学になろうかという勢いです(結果、前の2校は2008年に開設が認められ、つくば薬科大学も開設予定です)。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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