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コンプライアンス問題での淘汰圧

2008/07/08

 このところ医療界でも、コンプライアンス遵法性)配慮が重要だなと改めて感じるような事件報道が続いたので、いくつかのケースについてお話してみたいと思います。

事件その1
 福島区検察庁は、医師国家試験に合格後、医師免許を申請せず、無免許のまま研修医として約10カ月間、医療行為をしていたとして、愛知県の男性(27)を医師法違反(無資格医業)の罪で略式起訴しました。

 起訴状によると、この男性医師は、福島県の公立病院に研修医として勤務していた2006年4月から昨年2月までの間、計518人に対し、問診や注射などの医療行為を計928回行ったということです。

事件その2
 青森県の県立病院で、06年4月から08年1月までの1年10カ月間、研修医1人が保険医登録のないまま診療していたことが分かり、研修医が診療した約1200件約1600万円の診療報酬は全額、社会保険庁に返還されることとなりました。

 冒頭の医籍登録のサボりのような例も、当然診療報酬の返還が論点になり得ますが、この事件のように、ちゃんと医籍登録をしていても、保険医申請をせず、保険医の指定を受けないまま診療していれば、返還すべきという話になります。長期間にわたれば、半端な額ではすみません。

 医籍登録にせよ、保険医登録にせよ、せっかく実質的な資格を得たのですから、後でまずいことの起こらないよう、おさおさ怠りのないようにご注意です。

事件その3
 ある遠隔検診事業会社が6月中旬に、東京地方裁判所から破産開始決定を受けました。この会社は、健保組合加入者が在宅で採取した血液や尿、便などを郵便で受け取り、検査結果を通知するサービスを展開していましたが、2004年の設立以来赤字が続いていたようです。

 とどめを刺したのが、あるコンプライアンス問題です。会社のラボで昨年10月以降、臨床検査技師法で定められている指導監察医が不在になり、今年4月、改善措置の行政指導を受けました。

 さらに、薬事法が規定する薬剤師を配置していないことも判明しました。このため市レベルに留まらず、東京都の立ち入り検査を受けるに至り、信用不安が広がっていました。経営不振とコンプライアンス問題の複合で沈没のパターンです。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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