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祓串と聴診器―あるデュアルモードドクターの生き方

2008/06/27

 ときどき変わり種ドクターとしてテレビで取り上げられているドクターが、昨日もローカル局の「わが街ネタ」に登場しました。

 この先生、医師でありながら宮司さんです。若き小児科医としてご活躍中に、宮司であるお父様が亡くなられました。番組では謙遜でおっしゃっていたようですが、非常に貧乏な神社で、後任を引き受けてくださる人を探しましたが、いなかったとのことです。結局、息子さんであるこの先生が、医師と宮司の二足のわらじを履くことになりました。小樽の稲穂にある龍宮神社の宮司、本間公祐先生がその人です。

 本間先生は、公立病院や公的病院に勤務して小児医療に頑張ってこられましたが、宮司となれば常勤医はできません。宮司の仕事の合間に、パートで医師の仕事を続けておられます。インターネットで検索すると近所の医療機関で診療するだけでなく、市民向けの医学講座などにも尽力されています。

 宮司さんとしては、氏子さんや地元の地域振興グループと一緒にお祭りなどの企画に奔走されています。若い奥様も、寄付集めに行って「持ってけ、この野郎!」とお金を投げつけられるようにされたつらいエピソードを話されていました。モンスター・ペイシェントだけでなく、市民感情はどこでもずいぶんささくれだっているようです。

 それでも、この先生は生き生きと、医師の白衣と宮司の装束をとっかえひっかえ頑張っています。このところは神社ゆかりの榎本武揚没後100年の記念事業にお忙しくされているようです。

 先日、東京の私立大学の医学部で学ばれる和尚さんのニュースを見ました。このところスピリチュアルな領域がテーマにされることの多い医学、医療に宗教者が関わることは非常に意義深いことだと非宗教者の私も思ったりします。

 ところでマンパワーとしての医師が語られるときに、女医さんが結婚や妊娠・出産でパート化する現実がいろいろと論評されます。女性だけでなく、近ごろは若い男性にもフリーランス医師を選ぶ傾向も見られます。 

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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