日経メディカルのロゴ画像

家庭医派遣します―あるセンターの試み

2008/05/27

 5月28日、家庭医を養成する医療法人「北海道家庭医療学センター」(室蘭市、草場鉄周理事長)が、北海道内の市町村立診療所を対象に「医師3人、まとめて受け入れる診療所はありますか?」という募集説明会を開催します。

 北海道家庭医療学センターは、12年前、室蘭市の日鋼記念病院の付属機関として開設されました。現在、福島県立医大地域家庭医療部長(教授)として活躍されている葛西龍樹先生が、カナダで家庭医学教育を学んで帰ってこられ、「日本でもぜひ本格的な家庭医養成を」と模索されていたところに、日鋼記念病院を経営する医療法人カレスアライアンスのカリスマリーダーであった西村昭男理事長の「家庭医養成をわがグループで」という提案があり、病院付属の家庭医学教育施設としてスタートしたのがはじまりでした。

 先般のカレスアライアンスの経営権をめぐるドタバタ騒ぎで、このセンターも病院からの自立化路線を歩みつつあると聞いていましたが、このようなニュースを見ると、母体から独立しても着実にその成果を生みつつあるといってよいようです。

 今回公募しているのは来年の4月から、医師3人を1組で受け入れたいという自治体診療所です。来年4月までに病院を診療所に規模縮小する場合も対象としています。派遣される医師は、同センターで家庭医の研修プログラムを終えた医師と後期研修医を含む3人1組ですが、同センターは既に寿都(すっつ)町の町立診療所に4人、更別村の国保診療所に3人の医師を派遣しています。

 同センターは、96年に開設されて以来、27人の家庭医を養成輩出しています。派遣された医師たちは、一般診療に従事するだけでなく、行政と共同して医療、保健、福祉といった地域活動や予防医療を実践し、トータルヘルスプロモーションのキーパーソン機能を果たそうとしているようです。

 現在、夕張市で村上智彦医師が公設民営化した診療所を、破綻した町の再建という流れの中で必死で運営しているところですが、年間5000万円に及ぶ診療所の暖房費の問題で行政当局とくんずほぐれつの交渉をしています。

 村上医師は、北海道の他の町で予防活動の打ち切り問題で行政と対立する形で町を去りました。今度は夕張で、町の医療再建請負人としてまた違った苦労に満ちた実践にトライされていますが、やはり先行きが見えない難局にあるようです。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

この記事を読んでいる人におすすめ