日経メディカルのロゴ画像

医療の質と安全キャンペーンを辛口に読む―「医療安全全国共同行動」はじまる

2008/05/23

 5月17日、病院や関係団体が共同で対策に取り組む全国キャンペーン「医療安全全国共同行動」(“いのちをまもるパートナーズ”キャンペーン)がスタートし、そのキックオフ・フォーラムが東京都内で開催されました。

 このキャンペーンは、「医療の質・安全学会」理事長の高久史麿氏が議長を務める、「医療安全共同行動推進会議」が中心となって進めています。この会議は、医療の質・安全学会、日本病院団体協議会、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会、日本臨床工学技士会といった医療者団体の集合体という形で構成されています。

 ところで、日本病院団体協議会は病院団体であり、日本医師会は医師団体、日本歯科医師会は歯科医師団体、日本看護協会は看護師団体、日本臨床工学技士会は臨床工学技師の団体ですが、医療の質・安全学会とはどのような団体でしょうか?

 そもそもこの学会は、2004年8月に箱根で開催された日本医学会のクローズドのシンポジウムがきっかけで立ち上がりました。高久先生が「医療の安全ということはいろいろな分野に関係がある、すなわち非常に学際的なテーマであり、しかもこの問題は非常に重要である。しかし、世の中の人に訴える場合には、学会という形をとったほうが言いやすいのではないか。ということで医療の安全に関する学会をつくったらどうでしょう」と言い出しっぺをしたことから始まったとのことです。2006年11月に東京で開催された学会発足のシンポジウムのシンポジストたちの顔ぶれや後援関係を見ると、厚生労働省や文部科学省といった省庁というより、国策といってよいレベルの政策意図が影響しているといっても間違いはないでしょう。

 さて、話を本来の医療事故防止全国キャンペーンに戻しましょう。このキャンペーンのモデルはアメリカの、米国の医療の質改善研究所(Institute for HealthcareImprovement)が 実施した「10万人の命を救え」キャンペーンです。

 なぜ10万人なのかというと、米国では、有害事象の半分以上が、ミス防止策が整っていれば避けられた事例で、年間4万4000~9万8000人が本来は死なずに済んだケースだと推定されたためです。そして、2004年12月から18カ月間で、約5000の病院のうち、3100の病院が参加し、入院中の死亡数を大幅に減らすことに成功したということです。

 今回の医療安全共同行動推進会議の掲げる8つの行動目標“PARTNERS”は、以下の8つです。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

この記事を読んでいる人におすすめ