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どこまで広がる?後期高齢者医療制度導入の波紋

2008/04/25

 4月1日に後期高齢者医療制度が施行されてまだ1カ月足らずですが、あるローカル局のワイドショーで特集をやるとのことで、コメンテーターとして呼ばれました。厚生労働畑出身の研究者や広域連合の職員さんたちが制度説明や質疑応答をしている間に、かかってくる視聴者からの電話は「うれしくない制度だ」「行政の広報が悪い」など批判的意見ばかり。

 そんな中で、この20日に山形市の58歳の無職男性が、87歳の母親と無理心中らしき姿で発見されたと報じられました。この男性は近所の人に後期高齢者医療制度で年金から保険料を天引きされて生活が大変になったと漏らしていたとのこと。母親の認知症や再入院の困難などいわゆる介護疲れに、新制度で生活が厳しくなったことも重なり、このような悲劇に至ったと推測されます。そういう意味では、後期高齢者医療制度がトリガーになったといってよいかもしれません。

 前々回のブログでも言及したように、この後期高齢者医療制度は、高齢者自身に負担を負わされるだけでなく、従来の老人保健制度での拠出金、新制度では支援金と呼ばれる健康保険組合などから拠出される資金が間接的に若い組合員らの肩にもかかってきています。

 21日、健康保険組合の連合体である健康保険組合連合会健保連)は、2008年度の予算早期集計を公表しました。健保連のこの集計は、1502の組合のうち1285の組合の集計から全体を推計したものです。健保連発表の冒頭にまとめられている08年度と07年度の収支状況の対比を要約すると次のようになります。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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