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ヘパリン回収問題をトレースする

2008/03/17

 昨年12月以降、米国でヘパリン製剤の使用によって死亡例を含む重篤なアレルギー反応を示す副作用の急増が問題となり、今年1月からこのヘパリン製剤を製造している米国バクスター社によって自主回収がなされています。 

 わが国では米国バクスター社のヘパリン製剤を輸入使用しておらず、副作用の増加も報告されていませんが、国内3製薬会社が米国バクスター社のヘパリン製剤と同一の原薬製造所で製造された原薬を使用していることが判明し、3社は3月8日からこれらのヘパリン製剤の自主回収をはじめました。

 ヘパリン回収がわが国にも関係してきたからか、ヘパリン製剤の問題がこのところ新聞やテレビで報道されることが多くなってきました。先日もテレビのワイドショーで、ある心臓外科医が「ヘパリンのような使用頻度が高く、エッセンシャルな薬が安全に使えないと大変だ」と困惑顔のコメントを行っていました。

 ワイドショーでは、米国に比べてわが国は機動性の乏しい薬事行政であるとか、日常的に抗凝固剤を使用せざるを得ない患者さんたちの不安に同情すべきと報じていましたが、ここでは状況がはっきりしない問題について、現在のところ間違いのなさそうな事実を確認してみたいと思います。

 まず、米国での事の起こりと経過については、FDA(食品医薬品局)のサイトが簡潔にまとめています(この原稿を書いている時点でのアップデイトは3月11日付になっています)。このコラムもその記載で事件を追うことにします。また、米国バクスター社も説明のサイトを置いています。

 なお、わが国の現状は、厚生労働省の自主回収の告知サイト(PDFファイルにリンク)と、国内3社の自主回収告知サイト(それぞれPDFファイルにリンク、扶桑薬品工業大塚製薬テルモ)でわが国での自主回収対象製品等の情報を得ることができます。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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