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献体の臨床研修利用は是か非か―ある市民フォーラムに参加して

2008/02/19

 先週の3連休のラストの月曜日、道新ホールで開かれた「札幌医科大学市民フォーラム『献体について考えたことがありますか?』~これからの医療に果たす献体の役割~」という催しに参加してきました。主催は札幌医大、北海道新聞社ほかで、後援は厚生労働省北海道厚生局、道、札幌市、北海道医師会、札幌医大白菊会など行政やNPOが並んでいます。

 実は、札幌医大では、献体のご遺志を医学生の教育だけでなく、医療に生かしたいと、2003年から、解剖学教室が主体となって、献体を用いた手術トレーニングや医療技術研究を進めています。もちろん、この事業には献体をされる方の同意が必須ですから、札幌医大白菊会会員の諸氏に説明を行い、改めて「手術解剖教育に特化した同意書」及び「遺族同意書」をいただいて運営中とのことです。

 07年の札幌医大白菊会でも、「札幌医大だけでなく、もっと広範になされても良いはず」との意見が出たそうで、今回のフォーラムもこのような献体の臨床研修利用についてどう考えていくべきか、市民と医療者が語り合って行きたいと企画されたようです。

 さて、このフォーラムですが、700席ある道新ホールもほぼ満席の様子で、市民の関心も決して薄いわけでないというのが第一印象でした。このフォーラムのプログラムは、午後2時から5時までの3時間を第1部と第2部に分け、第1部では札幌医大のいくつかの講座のスタッフが解剖への取り組みと献体について現況を説明し、その後に生命倫理の研究者(自治医大客員研究員)の橳島次郎氏とノンフィクション作家で評論家の保阪正康氏が、献体と医学教育について講演することになっていました。

 第2部は、第1部の講演者に、献体の臨床研修利用を進めたいと組織されたNPO法人MERI(Medical Education & Research Institute) JAPAN理事長の蜂谷裕道氏(整形外科医)と厚生労働省の担当官・井内努医政局医事課課長補佐も加わってパネルディスカッションが行われ、そのディスカッションの前に白菊会の会員による献体申し込みの体験や家族が献体を行った体験が語られることになっていました。

 実際、各講演者が若干講演時間を超過したのと、千歳に延着した橳島氏と保阪氏の講演順序が変わった以外、このプログラム通りに、講演とパネルディスカッションは粛々と行われました。以下、それらをかいつまんでレポートします。

 まず、開会挨拶を行った當瀬規嗣医学部長によると、白菊会などによる献体の年次推移を見ると、このところ年を追って献体数は伸びており、学生の解剖学習などの環境としては順風であるとのことでした。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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